第4世代のメルセデス・ベンツAクラスをキャッチ
公開 : 2016.06.16 04:50 更新 : 2017.06.01 01:29
およそ2年間の開発プログラムを経た第4世代のメルセデス・ベンツAクラスのテストが、いよいよドイツの路上でスタートした。内部コードW177と名付けられているこの第4世代のAクラスは、2018年のデビューを予定している。ライバルとなるのは、BMW 1シリーズ、そしてアウディA3である。
新しいAクラスは、ルノーと共同で開発されているMFA1プラットフォームの発展型であるMFA2をベースとする。このMFA2は、MFA1に対してフロアパンにアルミニウムを使用するなどして、剛性を確保しつつ全体の重量を削減しているもの。今回撮影に成功した初期のプロトタイプを見ると、MFA2プラットフォームはMFA1に対してホイールベースが長く、トレッドも拡大していることがわかる。
現行のAクラスは、ブートスペースが狭いことと、乗り心地が固いことが弱点とされていた。その乗り心地を向上させるとともに、リア・シートおよびブートスペースの改善が、第4世代では行われているという。
このMFA2プラットフォームは、新しいAクラス専用ではなく、今後、CLA、CLAシューティング・ブレーク、GLA、そしてアウディA3サルーンのライバルとされる中国専用の4ドア・サルーン、GLBというネーミングで開発が進められているSUV、そしてBクラスまでの6つのモデルのベースとなることが予定される。また、ルノー、日産、インフィニティの各ブランドでも使用されることとなる。
パワーユニットは、プロジェクト・エジソンと内部的に呼ばれているルノーとメルセデスの共同開発エンジンが搭載される。これには1.6ℓおよび2.0ℓのガソリン、1.5ℓおよび2.0ℓのディーゼルなどが含まれる。後者の2.0ℓディーゼルは最新のEクラスにも搭載されたOM654ユニットだ。
また、A3と1シリーズに対抗するため、ガソリン・プラグイン・ハイブリッドも計画されている。これは、メルセデス・ベンツの子会社であるアキュモーティブが生産するリチウム・イオン・バッテリーを搭載するもので、モーターのみでも最高50kmの航続距離を持つというもの。
このAクラス・ハイブリッドの詳細はまだ不明だが、メルセデスのエンジニアによれば2つの異なるセットアップに取り組んでいるようだ。ひとつは横置きのエンジンとギアボックスの間にモーターを配置したFWD。そして、もうひとつはリア・アクスルにモーターをセットした4WDタイプだ。
いずれにしても、これらパワーユニットに組み合わせられるギアボックスは、標準で6速マニュアル、オプションで9速デュアル・クラッチとなる。9速オートマティックは、現行の7速オートマティックに変わるもので、燃費の向上と、CO2排出量の削減が図られるもの。9G-DCTとネーミングされるこのトランスミッションは、シュツットガルト郊外のヘデルフィンゲン工場と、ルーマニアのセベスにある子会社スター・トランスミッションで製作される。なお、この9G-DCTは、最大51.0kg-mのトルクにも耐えるように開発が進められているという。
また、標準的なFWDモデルと並び、新しいAクラスでは、A4クワトロと1シリーズsDriveに対抗するために4 Maticモデルの設定を広げる可能性があるという。
インテリアも完全にリフレッシュされ、オプションのデジタル・ディスプレイはApple CarPlayとAndroid Autoに対応する他、モバイルW LANも利用できる最新のインフォテインメント・システムが組み合わせられる。エントリー・レベルのメルセデスでありながら、エレクトロニクス・プラットフォームは最新のEクラスと同様のものがおごられるという。
今回、撮影に成功したテスト・モデルからは、フロント・ガラスにはステレオ・カメラが見て取れることから、ディストロニック・プラス・クルーズ・コントロールや、ドライブ・パイロットが装備されるものと思われる。