メルセデス-AMG SLC43
公開 : 2016.06.20 05:50 更新 : 2017.05.23 16:42
9速オートマティック・ギアボックスは、いかなるギアでもシームレスかつ安定した変速を披露してくれる。マニュアル・モードでも、サクリと変速は済んでしまう。「DSGでも、こんなになめらかで速い変速はしないよ」とあなたはパッセンジャーに自慢気にいうだろう。
よりパワーが小さいモデル群に比べると足回りは硬いため、ボディ・コントロールも概してしやすい。かといってパワー・ホップは看取されず、むしろ乗り心地は先代のSLK55よりもよくなっているほど。ステアリングも軽くなり、舵角によって重みが急変することはない。
しかし問題はセッティングではなく、基礎の部分にあるように思える。やはりSLCは、SLKの時代からカウントすると、デビューからかなりの月日が経っている。そして、それを感じさせる部分があるのだ。たとえばステアリングからは振動が伝わる。そのうえルーフからキュッキュッと軋み音が聞こえる。要するに剛性が足りず、ボクスターさながらの正確なステア・フィールを諦めなければならないのである。