ポルシェ718ボクスター
公開 : 2016.06.22 05:50 更新 : 2017.05.29 19:04
■乗り心地とハンドリング
“フロント・タイヤは、優れたステアリング・レスポンスに寄与。自信をもってステアリングを切れる” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)
4年前、ボクスターのハンドリングに対してAUTOCARは、‘突出している’ と表現した。
£971(15万円)のPASM、£890(14万円)の機械式リア・デフがついている最新のボクスターは、もちろんハンドリングも優れているのだが、それ以上に快適性も増していると感じる。基本は同じであるにもかかわらず。
ミド・エンジンであることが明白にわかるバランスのよさは、2シーター・スポーツカーのなかでは依然としてベンチマークであり、これは屋根を開けても同じだ。
718と先代における明白な違いは、可変ダンパーのもたらすライドの ‘幅の広さ’ である。また、カウンターをあててからの微修正が、718の方が直観的に行える。
PASMをもっとも柔和なモードに固定しておけば、凹凸が目立つ英国の路面でも、ノーマルよりも10mm車高が下がっているだけでなく、20インチのカレラSホイールを履いているにもかかわらず嫌な突きあげがない。
シャシーが引き締められたことは、コーナーでわかる。明らかに向きの変わり方が先代と違ううえ、グリップが無限にあるのではないかというような錯覚に陥る。リアの剛性向上と、ワイドなタイヤを組みあわせることで、タイム短縮も思ったより簡単とさえ思えてくる。機械的な優秀さゆえ、次々と高みを目指してしまうシャシー・セッティングだと感じた。
■経済性とランニング・コスト
“近い価格帯のアウディTT Sをわずかな差で下しており、ロータス・エリーゼには大きな差をつけている” ― ニック・カケット(ロードテスター)
自動車マーケットを見渡すと、およそ£40,000(614万円)という価格帯で300psを発揮するするクルマは、かなり高いといっていいだろう。最近のホットハッチならば、150万程度安い価格帯でボクスターより50ps以上パワーを発揮するクルマだってある。
しかしボクスターが高い競争力を有しているのは事実だ。たとえばアウディTT Sを考えれば、読者諸兄だってそう思えてくるはずだ。