ただ、われわれはポルシェのオプション・リストを好意的に思っているわけではないということは、明示しておかなければなるまい。明らかに標準装備が簡素であり、‘オプション商法’ と揶揄されても不思議ではない。

ダウンサイジングに関してはどうか?

2012年式のボクスターSは、われわれのテストにて、トータルで8.9km/ℓ、クルーズ時には11.6km/ℓを記録していたが、一方の718はトータルで9.1km/ℓ、クルーズ時に12.7km/ℓだった。

サーキットでは前者が3.8km/ℓ、後者が4.3km/ℓ。

あれ、数値でみるとそれほどの差が……。

■「買い」か?

“機械としてよくなったことは認めるが……” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

Good：パフォーマンス、ハンドリング、意外な快適性
Bad：味わい、価格、さほど進歩のない経済性

初代ボクスターは、これまで存在しなかった市場を創出しただけでなく、現在の企業としてのポルシェの基本を作ったといっていいが、最新のボクスターは、初代ほどセンセーショナルなものではない。

ダウンサイズしたエンジンを無条件に受けいれるというのであれば、購入を引きとめたりはしないものの、2.0ℓ4気筒エンジンが、これまでの自然吸気エンジンの音や加速とは異なっていることは、知っておいたほうがいいのではないだろうか。

しかしながら、現実的には、先代よりも速くなっているし、経済性も向上している。インテリアもこれまでより優れているし、ハンドリングも明らかによくなっている。公平な判断をするならば、2シーター・オープン・スポーツのなかでは最良のクルマであるし、楽しみを求めているカスタマーにとってはうってつけだろう。

あとは時代の変化を受けいれるか、それとも、かつての味わい深いエンジンをもう少し楽しむか、である。