フェラーリGTC4ルッソ

公開 : 2016.06.30 05:50　　更新 : 2017.05.29 18:52

シフト・アップは即座に終わり、ダウンシフトも左手で思いのままだ。公道ではまず必要のないことだが、ブレーキ・ペダルを強めに踏めば、パンパンパン! と一瞬にして自動でダウンシフトしてくれるのも新鮮だ。

ステアリングを切ってからの挙動がかなりクイックなのはフェラーリの常だが、GTC4はロック・トゥ・ロック2.2回転というセッティングになっており、ターンイン時の反応が鈍いということはないが、高速域では安定している。後輪操舵装置によるところが大きいのは間違いないが、これもF12tdfに比べると穏やか。実際に作動していることはほとんど気がつかないはずだ。

4WDシステムも含め、過渡域のハンドリングを厳密にテストするタイミングを今後設ける予定である。

■「買い」か?

ドアが2枚しかないのに4名が乗れ、しかもそれがスーパーカーのエンジンをもち、1km走る度にCO2を350gをばら撒くクルマについて、何と言えばいいのだろう?

オプションを選ぶ前から思わず後ずさりするような価格であるし、オプションを選べばベントレー・コンチネンタルGTやアストンマーティン DB11の2倍近くになる。だからといってコンチネンタルGTの2倍優れたクルマではないし、DB11の2倍いいクルマであるかどうかも疑わしい。

しかし以下のような見方もできる。4つの座席があり、十分な荷室を持ち、8000rpm以上まで回る自然吸気のV12エンジンを搭載する、特異なボディをもつフェラーリはこれしかない。実際のところ、多くのカスタマーはそういった理由でGTC4ルッソを買うのだろう。GTC4ルッソに変わるクルマはない。そしてボディが何ともいえない癖をもつ。思わず惹かれる理由は揃っている。