ポルシェ・マカンは、SUVのハンドリングの基準を、これまでよりも遥かに高いところまで引きあげたため、ジャガーはF-ペースをローンチする前に、もう一度セッティングを見直すことに決めた。ならばF-ペースは、マカンを超えられるのだろうか? ガチンコ勝負をはじめよう。

このページのツイン・テストを企画したのは、数カ月前のこと。スウェーデンの北部にある氷と雪に覆われたテスト・コースにて、エンジニアのトップが気がかりなことを言った、というのがそもそものきっかけである。

「もう、F-ペースはマカンのことを見ていないんです」

「いや、たしかにですね、2014年にポルシェ・マカンがデビューしたとき、すでにF-ペースの開発を進めていたわれわれは、はっきり言って動揺しましたよ。それからというものの、われわれは闘志を燃やし、サスペンションやステアリングのセッティングをやり直しました」

参考までに、ひとりのエンジニアが、他メーカーのクルマのことを名指しにして、それも ‘一度は動揺した’ などと言うことはあまりない。あまりのインパクトだったのだろう。彼は ‘マカン’ というワードをよく使った。

われわれはマカンのハンドリングを高く評価していることは、読者諸兄はご存知かもしれない。それだけに、F-ペースが本当にマカンを上回っているのか? わたしは早く確かめたかった。そして今回その機会が訪れたのだ。