マクラーレンF1、ハイパーGTとして復活へ
公開 : 2016.07.20 04:50 更新 : 2017.06.01 01:28
マクラーレンF1を復活させるプロジェクトが、マクレーンのスペシャル・オペレーション・ディビジョン主導のもと進んでいる。
£200万(2億7738万円)の値札とともに限定モデルとして登場する新型は、“F1” へのオマージュとして製造される。3シーター、ディヘドラル・ドア、ルーフのシュノーケルという際立ったデザインを多く引き継ぐ一方、新型はウルトラ・パワフルGTカーとしてエンジニアリングされるのが特徴だ。
ラインナップの頂点に位置するモデルはあくまでP1であり、新型F1の開発チームは “最速のGT” を目標に掲げ、飛び抜けたパフォーマンスを誇るスーパー・スポーツカーを目指さないものと考えられる。
これについてマクラーレンの内部関係者は、「かつてのF1の3シーター・レイアウトを適用するものの、その目的は異なるものになり、最高の速度とスタイリングで大陸横断できるGTカーがわれわれの目指すところです。つまり、かつてないほど素晴らしいクラフトワークとラグジュアリー性を兼ね備えたロードゴーイング・マクラーレンなのです」と明かしている。
パワートレインは、改良型の3.8ℓV8ツインターボで、最高出力は710ps以上。バッテリーによるアシストはないものの最高速度は322km/hを超え、パワー・ウェイト・レシオは650Sより優れたものになると予想される。
なお、AUTOCARのテストでは、650Sは0-96km/h加速タイムが3.2秒、0-161km/hが6.3秒、48km/h-113km/h中間加速が2.2秒というパフォーマンスを記録している。
ただ、優れたパワー・ウェイト・レシオにもかかわらず、グランツーリスモというキャラクターを考慮して、マクラーレン675LTを超えるようなパフォーマンスにはこだわらないようだ。同様の理由で、サーキット仕様の開発も行われないと考えるのが妥当である。
また、GTの要件とスーパーカーの速さを両立するために、マクラーレンの公道モデルのプロアクティブ・シャシー・コントロール・システムが適用されるほか、インテリアはすべてビスポークに委ねられる。
インテリアのハイエンド・デザインについて、われわれの情報筋は「車両というよりは、一点もののアート」と表現している。オーナーは好みの素材を選ぶことができるので、2つとして同じものが存在しないクルマも製造可能だという。
今回ビスポーク部門が手掛けるマクラーレンのカーボンファイバー・モノケージは、マクラーレンF1と同様にセントラル・ドライビング・ポジションとなり、両脇に同乗者をレイアウトすることができる。このモノケージ自体はP1用に開発されたものがベースであるが、ほかの公道仕様モデルにも流用できる設計になっている。
新型F1の外観については、「マクラーレンのデザイン言語が新たなレベルになったと感じられる、非常にエレガントなものになるでしょう。随所にF1へのオマージュが見て取れますが、このモデルは決してレトロカーではありません。きわめて現代的なものです」と内部関係者はコメントしている。
ここに掲載しているレンダリングは、予想を形にしたものであるが、スタイリングに妥協がないことを示している。とくにエグゾーストは、リア・ディフューザーを排除し、クリーンなルックスを実現するために、後部の高い位置にマウントされるようだ。
これまで、マクラーレンのMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)といえば、2012年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで発表されたマクラーレンX-1を手がけたことで知られている。12Cをベースに特別なオーナーに向けて製造されたこのモデルには、コードネームBP1が与えられていた。ビスポーク・プロジェクト1の略である。
今回のF1を復活させるプロジェクトにはBP23というコードネームが与えられた。これはビスポーク・プロジェクト2と3シーターの組み合わせと考えられる。また、製造台数は64台、つまり公道仕様のF1と同じ台数という情報もある。
ローンチは2018年と考えられる。これは、ロン・デニスとTAGのマンスール・オジェ、ゴードン・マーレー、クレイトン・ブラウンの間で交わされた有名な会話(マクラーレンF1が生まれるきっかけとなったもの)から30周年を記念したスケジュールということになる。
新型について、ネーミングなどの情報は一切明かされていないものの、マクラーレンF1にリンクした名称になると考えられる。可能性が高いのはF1 GTなど、F1を頭に持ってくる名前だ。
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