セアト・レオン 1.4 TSI

公開 : 2012.11.09 16:09  更新 : 2017.05.29 18:44

■どんなクルマ?

第3世代のレオンは、9月のパリ・モーターショーではじめて公開された。アウディA3フォルクスワーゲン・ゴルフの兄弟車であり、その55%のコンポーネンツを共有するモデルでもある。そのシャープなスタイリングは、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームの上に構築された3番目のモデルでもあり、そのエンジンはディーゼルを含む4気筒が搭載される。

その新しいデザイン言語は、すでにイビーサで採用されているが、更にIBE、IBL、そしてIBXといったコンセプトカーにも反映されているもの。そのシャープなエッジを持つスタイリングは、A3やゴルフよりも若い層にアピールしようという狙いが見て取れる。このスタイリングが好きか嫌いかは別としても、特徴的なフォルムであることは間違いない。また、レオンはLEDヘッドランプを持つ最初のセアトでもある。

全長4263mm、全幅1816mm、全高1459mmで、その数値は前モデルよりも52mm短く、48mm広く、4mm高い。全長が短くなったにもかかわらず、ホイールベースは58mm延長された2636mmだ。そのボディは、従来よりも高い強度を誇る高張力鋼板などが使用されるMQBプラットフォームの採用で、従来モデルよりも90kg軽くなっている。

英国でのエンジン・ラインナップは、5つのダイレクト・イグニッションを持つガソリン・ターボと、4つのディーゼル・ターボが含まれる。われわれがテストしたのは、138bhpの1.4リッター・ガソリン・エンジン搭載車だ。このエンジンは、アイドリング・ストップと、回生エネルギー・ブレーキ・システムを持つ。

■どんな感じ?

レオンは、超リジッドとも言えるMQBプラットフォーム・シャシーを得たおかげで、素晴らしい乗り心地を得ることとなった。それもその対価に相応しいレベルのものだ。

インテリアはより高価でより高級なライバル・ハッチバック達に対して優位に立つため、パーフェクトなエルゴノミクス、高いクオリティ、そして豪華な装備を持つ。ドライビング・ポジションもアジャスタブル・ステアリングのおかげで良好だ。前モデルよりも短くなったにもかかわらず、その室内は遥かに広くなっている。特に、リアのレッグ・スペースやショルダー・スペースは大きく改善されている。さらに、ブート・スペースも39リッター増加して380リッターとなっている。但し、トランクリッドの縁が高いため、重いものを積むのには苦労しそうである。

1.4リッターの138bhpエンジン搭載モデルは、英国では新しいレオンのラインナップの中でも最も販売数が多いモデルとなるとセアトは予想している。そのスムーズかつ自然で、ミッドレンジでのパワーがあり、日常的なドライビングに優れたパフォーマンスを発揮し、燃費も優れているというのがその理由だ。この1.4 TSIは、1156kgのボディ重量で0-100km/hが8.2秒、最高速度210km/h、燃費が19.2km/l、CO2排出量が119g/kmという値を持つ。そして、このエンジンに組み合わせられるのが、さくさくして正確でしかも適度な重さを持つ6速マニュアル・ギアボックスだ。

この新しいレオンで大きく進化したのは、その乗り心地とハンドリングだ。前モデルは確かにファン・トゥ・ドライブであったが、日常の使用を考えると確かに欠けていたところがあった。しかし、新しいレオンは、その点について適切なバランスがとられている。間違えないで欲しいのだが、ファン・トゥ・ドライブな面が削がれたというわけではない。

適度な重さとダルなところが一切ないステアリング、素晴らしいボディ・コントロール、中速コーナーでの高いグリップなど、非常に優れた点が多い。広がったトレッド、長くなったホイールベース、そして低くなった重心によって、這うようなドライビングを味あわせてくれるのだ。

選択可能なセアト・ドライブ・プロファイルは、ステアリングとスロットル特性に変化をもたらすものだが、多くの場合、コンフォート・モードにしておけばそのほとんどをカバーできる。また、ゴルフで提供されているレベルにまでは達していないのも事実だった。

セアトのR&Dのボス、マッテヤ・レイブによれば「よりスポーティな、ダイナミックなフィーリングを目指した」ということだが、そういった意味では大いにその味付けは成功しているといってよいだろう。

■「買い」か?

5ドア・ハッチバックの購入を検討しているのであれば、このセアト・レオンをその候補に入れないのは馬鹿な話である。もちろん、本当の評価は英国でのテストまでまたなければならないが、価格と対比しても非常に魅了的なモデルであるということは確かだ。

しかし、フォルクスワーゲン・ゴルフ、フォード・フォーカス、ヒュンダイi30、ヴォグゾール・アストラといったライバルの多いこのセグメントで成功することは、決して簡単なことではないが。

(グレッグ・ケーブル)

セアト・レオン 1.4 TSI

価格 17,840ポンド(227万円)
最高速度 210km/h
0-100km/h加速 8.2秒
燃費 19.2km/l
CO2排出量 119g/km
乾燥重量 1156kg
エンジン 直列4気筒1400ccターボ
最高出力 138bhp
最大トルク 25.4kg-m/1500rpm-3500rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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