ジャガーF-PACE
公開 : 2016.07.27 06:00 更新 : 2017.05.29 18:37
試乗したSの場合、アンモナイトグレイというエクステリア・カラーにマッチさせて、インテリアもブラウン系のレザーシートなどが組み合わせられていたこともあって、室内空間もジャガーらしいシックな印象を与える。運転席周辺はもちろんだが、試みに座ったリア・シートも、レッグルーム、ヘッドルームとも、充分な空間が確保されているのが分かった。
近年のジャガーに独特の、コンソール上にせり出してくる丸いセレクターを操作してDレンジを選択、スロットルを踏み込むと、F-PACE Sは力強く走り出した。アルミを多用したボディを持つとはいえ、車重はSで1980kg、サンルーフを装着した試乗車では2000kgあるが、380psと450Nmを生み出すスーパーチャージド3ℓV6は、それを軽快なペースで走らせる。
しかもこのエンジン、スロットル・レスポンスが素早いことに加えて、スポーティさを強調する演出もたっぷりと施されている。スロットルをそれなりの深さで踏み込んで加速すると、スーパーチャージャーの回転音と排気の爆音がミックスされたような高周波のサウンドが、キャビンにいる乗員の耳にもはっきりと届いてくるのだ。
Dレンジを選んでおけば、8段ATがスムーズな変速を繰り返して望むペースを保ってくれるが、パドルを駆使してマニュアル・シフトすることで、一段と俊敏な加減速を手に入れることもできる。
一方その乗り心地は、どちらかというと硬めな印象をうける。特に試乗したSモデルは、225/50R20という大径にして太いタイヤを標準装着しているため、路面の不整や舗装の継ぎ目では、けっこうはっきりとしたショックをボディに伝えてくる。だから少なくとも現状では、ジャガー伝統の猫脚がSUVに受け継がれているとは言い難い。