ただしその分、ハンドリングは適度に締まった感触があり、ステアリング操作に対する反応は比較的クイックで、着座位置は高いながら身のこなしはタイトが感じられる。ステアフィールにもう少々しっとりとした感触が欲しいところではあるが、トルクベクタリングの効果もあって、タイト・ベンドでも強いアンダーステアを感じることはない。

さらにブレーキも、制動力、感触ともに、不満を感じることはなかった。したがってF-PACEのV6モデル、ワインディング・ロードを得意とするSUVであるといえようか。

続いてディーゼル・ターボの20d R-Sportに乗り移る。ダークサファイアと呼ばれる濃いネイビーにブラックのホイールを履いた姿はなかなか精悍かつスポーティで、そのルックスからは、ディーゼル・エンジン搭載車であることなどまるで感じさせない。

ならば、1920kgの車重を180psと430Nmを発生する2ℓ直4ディーゼル・ターボで走らせる感触はどうだったか。全般にパフォーマンスは充分という印象で、走り出してしまえば不満はなかったが、ちょっと意外だったのは、発進直後の反応がボディの重さを感じさせるかのように鈍く感じられたことだ。一方、ディーゼル・エンジンの音や振動に関して、不満を覚えることはなかった。

試乗車はディーゼルで最上級のスポーティ・モデルで、しかもオプションの255/50R20タイヤを履いていた。したがって、乗り心地は前に乗ったガソリンのSと同じく硬めな印象で、舗装の継ぎ目などの凹凸ではタイヤからのショックがはっきり感じられた。その代わりこれも、ワインディング・ロードを確実なフットワークでこなしてくれるクルマだった。