メルセデス、安全技術に関する国際交流会を実施
2016.07.28
ベンツの1号車となる3輪車がドイツ帝国の特許を得てから130年。自動車を発明したメーカーとしてのプライドから、常に最高の技術を追求すると共に、安全性を第一としてきたのがメルセデス・ベンツである。他社に先駆けABSやEPS、エアバッグを市販車に採用したのを始め、現在のレーダー・セーフティ・パッケージで運転者支援システムを一般的な存在に広めてきたのはご存知のとおり。
そのメルセデス・ベンツが「NEXT STAGE of AUTOMOBILE TECHNOLOGY meets HISTORY/自動車の最先端安全技術に関する国際交流会」を開催した。舞台となったのは迎賓館赤坂離宮の前庭で、民間企業のイベントに貸し出されるのは初めてだという。会にはダイムラー社からドライバー支援開発シニア・マネージャーのヨアヒム・ミセル氏を始め、駐日ドイツ連邦共和国大使館からハンス・カール・フォン・ヴェアテルン大使、駐日欧州連合代表部のメルヴィ・カーロス参事官のほか、関係官庁の要職が出席した。
今回はメルセデス・ベンツが取り組んできた最新鋭の運転者支援システムを紹介するもので、同日に販売が開始された新型Eクラスを例に説明が進められた。まず新型Eクラスに採用された完全自動運転に近づく革新的な安全運転支援システムである「ドライブ パイロット」が披露された。これは先行車との車間距離を保って走行することに加え、周囲の交通状況(他車、ガードレール等車線と平行に位置する物体)を常に監視することで、従来よりもステアリング・アシストが作動する領域が拡大。車線が不明瞭または表示されていない場合にも自動で先行車に追従できるという。また高速道路上で渋滞のため自動停止した場合は、30 秒以内であれば自動で再発進することが可能で、渋滞時のドライバーの疲労を大幅に低減させるシステムである。
新型Eクラスに採用された新技術これだけではなく、「アクティブ・レーン・チェンジング・アシスト」もそのひとつだ。高速道路走行中にステアリング・パイロット起動している時に、ドライバーがウインカーを2秒以上点滅させると、周囲の状況を確認して安全と判断した場合に自動で車線変更するもの。
このほか「アクティブ・エマージェンシー・ストップ・アシスト」(一定時間ステアリング操作を行わない場合、警告灯と警告音によってステアリングを握るよう促し、反応が無い場合は緩やかに減速して停止させる)、「緊急回避補助システム」(アクティブ・ブレーキ・アシストの歩行者検知機能を補う新開発のシステム)を採用する。
イラストは新型Eクラスが採用する運転者支援システムを説明したもので、これまでのレーダー・セーフティ・パッケージに加え、前後左右隙無く守られていることがわかろう。その下のイラストは「アクティブ・レーン・チェンジング・アシスト」の概念図。
会場では新型Eクラスを使っての「ドライブ パイロット」の自動追随運転のデモランが披露された。先行車を一定の間隔で追随し、ドライバーは両手を上げて運転していないことをアピール。最後はベンツの原点となるベンツ・パテント・モーターカーのレプリカと2015年の東京モーターショーで発表されたスタディモデルであるVision Tokyoと共に並べられ、進化の歴史を象徴していた。
また経済産業省の糟谷敏秀製造産業局長は、東京オリンピックで自動運転の輸送を計画しており、一方で国土交通省の島 雅之自動車局長は9月に軽井沢で開かれるG7で自動運転システムについて協議されるという。完全自動運転に向けて開発は続いており、もはや絵空事ではなくなってきたようだ。
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