ルノー・カングー・ゼンEDC
公開 : 2016.08.04 05:50 更新 : 2017.05.29 19:22
■どんな感じ?
大いなる期待と不安を抱きながらゼンEDCに乗り込む。ダッシュパネル下段から生えるEDCのシフトレバーは、AT然としており全く高性能を予感させないが、静かに滑り出して以降シームレスに加速を繋いでいく様子は現代的なデュアルクラッチ車そのものだった。マニュアル・シフトを操作するたびにピッチングを誘発し、加速していく喜びを元気よく表現していた以前のカングーとはまるで別物。17歳の元気な女の子が急に成人してしまい(そういえばカングーは来年20歳を迎える!)、ツンと澄ましてスタスタと早足で歩いて行ってしまったような感覚である……。
一抹の寂しさを覚えながら30分ほど山中湖畔を走っていると、次第にゼンEDCのしっとりとした感覚に体が慣れてきた。変速の部分は最新モデルらしくすっきりと洗練されたゼンEDCだが、決して遊び心を失ってしまったわけではないのだ。むしろワインディングではこれまでのMTやATではさけられなかった変速ショックが限りなく減少した結果、カングーらしい優しい乗り心地とゆったりとしたロール感をよりダイレクトに、雑味なく味わうことができるようになっている。このフランス的しっとり感は、同乗者が感じるであろう快適性にも繋がっているはずである。