text & photo:Kazuhide Ueno (上野和秀)
「クラシック・ミーツ・モダン」をテーマに、世界を魅了したクルマ達からその魅力を再度確認し、刻まれてきたヒストーリーや文化を大切にすることで、新たな自動車文化の構築を標榜するイベントだ。
具体的に説明すると、日本のレトロモービルを目指したもので、出展メーカーは自社の歴史を刻んできたモデルと最新のモデルを同時に展示し、そのフィロソフィーをアピールするもの。トヨタ自動車はカローラ生誕50年、日産・プリンスとの融合50年、スバルはボクサー・エンジン50周年、本田技研工業はマイクロスポーツ、マツダはデザインのヘリテージをテーマに、新旧のモデルを展示した。
このほかFCAジャパンはアバルト・ヘリテージとして往年のフィアット・アバルト595と124スパイダー・ラリーを最新モデルと並べ、ボルボ・カー・ジャパンではボルボ・スポーツと題してP1800や850T5をS60ポーラースターと共に並べた。マクラーレンはスーパースポーツの起点といえるF1と最新の570GTを、メルセデス・ベンツ日本はR121 190SLから現行のR231 SL400までの歴代SL達の足跡を展示を通してアピールした。
またこの会場で日本初となる新型モデルのお披露目が行われたこともニュースと言える。トヨタはカローラ生誕50年記念限定車の「カローラ・アクシオ50リミテッド」を、スバルは「新型インプレッサ」のプロトタイプ、マツダは2016 年ニューヨーク・ショーに展示された「マツダMX-5(ロードスター)RF」を持ち込んだ。
輸入車では待望のオープン2シーターのアバルト124スパイダーと、ボルボS60ポーラースター、今年のジュネーブ・ショーで公開され話題となったラグジャリー指向のマクラーレン570 GTが会場で披露され、大きな注目を集めた。
これらのメーカーブースに加え、全国のヒストリックカー・スペシャル・ショップも参加し、それぞれが得意とするジャンルの極め付けといえる素晴らしいコンディションのモデルを用意し、来場したエンスージァストの注目を集めていた。
そしてこの種のイベントに欠かせない関連する書籍からアート、モデルカーやティントイ、グッズを販売するブースに加え、オーナーズクラブやイベント主催者のブースも並び、ヒストリックカー・ファンには楽しめる内容とされていた。
オートモビル カウンシルはこれだけではなく、クルマの歴史を作り上げてきた先人達によるトークショーも用意され、自動車文化を後世に伝えるメニューも用意されていた。マクラーレン570GT のデザインを手がけたマーク・ロバート氏やアバルトのテザインヘッドを務めるルーべン・ワインバーグ氏を始め、かつてベルトーネに在籍した宮川秀之氏、ミケロッティで腕を振るった内田盾男氏やR32GT-Rの開発主管を務めた伊藤修令氏、そして歴代カローラの開発主管らによる当時の開発秘話や、裏話が披露された。いずれのトークショーもファンの知的更新を満たしてくれる企画として好評だった。
こうして、まだ始まったばかりのイベントだが、更なる充実と発展を期待したい。なお8月7日(日)の18時まで開催しているので、これから見学することも可能だ。詳細はホームページで確認を。
オートモビル カウンシル・ホームページ
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特別展示では、日本で初めて輸入された1953年型ポルシェ356カブリオレと、第2回日本GPで優勝したポルシェ904カレラGTSが並べられた。
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参加した日本のメーカーの中で最も力を入れていたのがマツダだ。デザインのヘリテーシと題し、R360クーペからMX-5RFまでの7台を展示。
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マツダ・ブースの中央で主張していたのは、2016 年のニューヨーク・ショーでお披露目されたMX-5 RF、日本名ロードスターRFだった。
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1989年に登場したユーノス・ロードスターもマツダのデザイン・ヒストリーを語る上で欠かせない1台といえる。
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アメリカナイズされたデザインの特徴で、王者GT-Rを打ち負かしたサバンナGT(RX3)も注目を集めた。
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2015 年の東京モーターショーに出品されたスタディモデルのRX-Visionは圧倒的な存在感を放っていた。
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日産自動車は「日産・プリンスとの融合50年」と題して、プリンス自動車の血筋を紹介した。
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日産の中心となったのが1966年の日本GPを制したプリンスR380だ。
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第2回日本GPで活躍したスカイライン2000GTはエンジンを公開。
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トヨタはカローラ誕生50周年を祝し、歴代開発主管との質疑応答を開催。
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ブースには初代のKE10型に加え、今も人気の高いTE27レビンを展示。
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4ドアボディでDOHCエンジンを積む4代目のGT TE71も持ち込まれた。
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富士重工業はボクサー・エンジンの起点であるスバル1000と新型インプレッサ・プロトタイプを中心に据えた。
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富士重工業のブースで密かな人気を集めていたのが中島飛行機製航空機時代に手掛けた栄21型エンジンだった。
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本田技研工業は「マイクロスポーツ」をテーマに幻のS360からS600、現代のS660に至る血筋を紹介した。
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ボルボはS60ポーラースターのお披露目を行うと共に、クラシック・プログラムでP1800と850T5Rを展示。
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メルセデス・ベンツ日本はR121 190SLから現行のR231 SL400までの歴代のSL達の系譜を見せてくれた。
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マクラーレンは最新のモデルで3月のジュネーブ・ショーで発表された570GTの日本初披露を行った。
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FCAジャパンは待望のオープン2シーター・モデルであるアバルト124スパイダーの日本初お披露目を行った。
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アバルト・ヘリテージとして往年のフィアット・アバル124スパイダー・ラリーを最新モデルと並べた。
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アバルトはほかに500をベーストするフィアット・アバルト595とアバルト595コンペティツィオーネを並べた。
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コーンズ・モータースはフェラーリの歴史を彩ってきたモデルを展示。
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圧倒的な存在感を放っていたのはマット・ブラックのラ フェラーリ。
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スーパーカー世代にとっては永遠の存在である512BBiは今も魅力的だ。
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ガレーヂ伊太利屋はクラシケ部門が在庫するランチアやアバルトなどの魅力的なモデルを用意した。
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ガレーヂ伊太利屋クラシケが行う車両のリサーチからメンテナンス、レストアまでの業務内容をアピールしていた。
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英国車のスペシャリストであるACマインズは、選りすぐりの通好みのモデルを持ち込んで販売した。
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岡山のオールドボーイは、素晴らしいコンディションに戻された自慢の車両館は、来場者の注目を集めていた。
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完璧に仕上げられたジャガーEタイプは、その自信を裏付けるようにショーアップされて展示が行われた。
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フランス車のスペシャリストである原工房は、今や希少なプジョー205と405や404、アルピーヌA310を用意。
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プラネックスカーズはロータス97Tを中心にロータス・エラン・エステートなど希少な小デルを並べた。
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スペシャリストとして知られるブレシアは、参考出品のMG-Lマグナと販売用オースチン・セブンを持ち込んだ。
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この手のイベントに欠かせないのがハイドロのシトロエン達だ。いずれもアウトニーズの販売車だ。
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クラブの参加もある。ミストラル・スパイダーを展示したのはマセラティ・クラブ・オブ・ジャパン。
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長い歴史を誇る日本クラシックカー・クラブは、1931年型フォード・タイプAを持ち込んでアピールしていた。
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ブガッティ・クラブ・ジャパンは、かつて小林彰太郎氏が発見してレストアしたT23モディフィエを展示。
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ワクイ・ミュージアムは白州次郎が所通してベントレーを始め、歴史的に価値の高い車両を7台展示した。
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石川県小松市にある日本自動車博物館も参加し、1958年型アストン・マーティンDB Mk-IIIを並べてアピール。
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湘南ヒストリックカー・クラブもクラブの案内と、12月に開催されるジムカーナ告知のために参加。
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コッパ・ディ小海などを主催するコッパ・ジャッポネも告知のために参加。
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クオリティの高さから世界で認められているスタンド21は、レーシングギアを幅広く取り揃えて販売を行った。
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日本を代表するミニチュアカー・メーカーのエブロも出展。豊富な製品ラインナップを来場者に紹介した。
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往年のレーシング・マシンを水彩画で再現する溝呂木 陽氏は、自身の作品とオートモビリアを販売した。
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独自のタッチでヒストリックカーを描くハート・ビート・モータークラブは、独創的な作品を展示即売した。
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馬場和実氏率いるエルス・デザインは、レトロモービルのブースをイメージしてディスプレイを行ったという。
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ヒートプレスで作られた木下品夫氏が手掛けるモデルは、ティントイに通ずる暖かみある仕上がりが魅力だ。
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3D CADで設計されたデフォルメ・モデルを手掛けるのは秋葉征人氏。ツボを押さえたフォルムが魅力だ。
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モデルカーからパーツ、グッズまで幅広く取り揃えるOTオートモビリアは、この種のイベントに欠かせぬ存在だ。