アルピナB7ビターボ
公開 : 2016.08.09 05:40 更新 : 2017.05.29 18:24
彼が好むのは自然なバランスだ。前輪がネガティブ・キャンバーなのも、自然なバランスを求めるゆえだ。新型7シリーズの4輪操舵システムとエア・サスペンションは残っているが、パラメーターはアルピナ専用。
スポーツ+モードでは車高を20mm落とし、重心高を下げる。230km/h以上でも同じことが起こるという。
■どんな感じ?
B7は速い。天と地がひっくり返るくらい速い。われわれが試したのは4WDであることを意味する ‘xDrive’ だったのだが、100km/hに至るまでの3.7秒という数字が示すとおり、パワーをうまく伝えている。
さすがにターボ・ラグが皆無とはいえないものの、どれくらいの頻度でフル・スロットルにするか(あるいは勇気があるか)を考えると、さほど問題ではない。そもそもフル・ブーストに至るまでも十分に速い。
ビスポークのステンレス製エグゾーストのフラップが開くと、地響きのような威厳ある音があたりに響く。ボンネットがガタガタと浮いているのではと思うほどだ。
コンフォート・モードでは、あらゆる路面の凹凸を確実にいなしてくれる。さすがにエア・サスにおいて時に生じるドスンという音は避けられないうえ、ウインド・ノイズも皆無とはいいがたいが、295サイズのタイヤを履いていることを考えると極上の味付けである。
スポーツ→スポーツ+へとモードを切り替えていくと、さらに安定感が増していく。乗り心地はリムジンにしては不自然なほど硬いが、浮世離れしたグリップ力が、車重が2トンもあることを信じられないほどクイックに巨体を左右に振らせてくれる。パドルではなくステアリング上のボタンで変速できるオートマティックもキャラクターに沿うクイックな動作感だ。
唯一の大きな不満はステアリングにある。直進時の手応えがあまりなく、切りこんでいっても自信が増していくタイプではないのだ。スポーツ・モード以上にすると手元に伝わる情報は増えるものの、相変わらずプログレッシブとはいえず、単に重すぎるだけなのだ。