プジョー508GT ブルーHDi
公開 : 2016.08.13 05:55 更新 : 2017.05.29 19:00
ハードウェア構成で508GTともっとも近いのはマツダ・アテンザの2.2ℓディーゼルだ。エンジン単体性能ではPSAとマツダでいい勝負だが、車重はアテンザのほうが100kgほど軽い。なるほど、アテンザのほうが508よりわずかに活発に走る印象だった。
508は現代のフランス車でも、もっとも伝統的フランス車らしい走りを見せるクルマだ。良くも悪くもロールは現代のクルマとしては大きめだが、そのぶん濃厚な接地感を伝えてくる。設計年次もせいあって、現在のプジョーでおなじみの極小径ステアリング・ホイールも508には採用されていない。もっというと、内装部品の分割線の多さやアナログ計器の豊富さにも、ひと世代古い感は否めない。
ただ、そうした508本来の(いい意味で古典的フランス車的な)キャラクターは、ねっとりと回るディーゼルでさらに増強された感があるのも事実。ダウンサイジング・ターボを積むガソリン508は、ハッキリと鼻先の軽さを感じさせるが、このディーゼル508にさすがにそれはなく、大型FF車らしいノーズ・ヘビー感が明確。ただ、その前軸荷重のおかげてフロント・タイヤのグリップはより読みやすくなっており、山坂道でも重さを持てあますような鈍重さを感じさせないのも、伝統的フランス車らしいところではある。