中古車対決! フォード・フォーカスRS vs ランチア・デルタHFインテグラーレ

公開 : 2016.08.15 05:50  更新 : 2017.05.29 19:30

たとえ操舵のタイミングが遅れてしまっても、強い磁力に導かれるかのようにコーナーの頂点に鼻先が向く。‘ドリフト’ モードにすれば、リアが進んでブレークし、鮮やかな弧を描きながら滑ることも可能だ。

これに比べるとデルタHFインテグラーレは、だらしなく感じられるところがある。最大の問題点はサスペンション・トラベルが極めて大きく、ぽっちゃりとしたタイヤが、(悪い意味で)ふわりとした印象を強める点だ。アンダーも強く、フォーカスRSと単純に比較できない。

峠道に持ちこんでも傾向は変わらない。フォーカスRSはダンパーが ‘ノーマル’ モードでもどんどん前に進んでいく。バンプで一度浮いたボディもすぐに収束する。事あるごとに不安定になるデルタとは大違いだ。

一方デルタは、ナチュラルであることに関して、フォーカスRSと比べものにならないレベルにある。ステアリングをどれほど切ればいいか、アクセルをどれほど踏めばいいかが実にわかりやすいのである。たしかにボディはきしむものの、シャシーそのものはフォーカスRSに比べると介在物が少ない。ステアリングに関しても、正確性はフォーカスRSが勝るが、‘ニュアンス’ に関してはデルタの方が正直なのだ。デルタの ‘旨味’ は、とても狭い範囲に限られるが、その旨さはフォーカスRSよりも上だ。味が濃くて体によくはなさそうだが、食べ終えると、既にまた食べたくなっている。年式ほどの差は見当たらない。

しかし実用性とスリルの両立でいうと、フォーカスRSの圧勝だ。速さ、ハンドリング、モーターウェイにおけるマナー、ビルド・クオリティ、実用性、ランニング・コストを含め、デルタHFインテグラーレは敵わない。

脳をくらくらさせるようなリーガル・ハイ(=合法的ドラッグ)に敬意を払うと同時に、体がもつ限り、毎日でもこの刺激を味わっていたいと思っている。



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