正直にいうと、わたしはM2を愛している。ポルシェ・ケイマンGT4がデビューした際、「古典的なクルマだが時代遅れとは感じない」というような表現をしたが、M2に関しても同じことがいえる。

小さなリア駆動車に筋骨たくましい370psの3.0ℓストレート6を組みあわせたことは、わたし以外のひとにとっても興味深い事実ではないだろうか。ダンパーはアジャスト不可。これまた硬派である。

カーボンファイバー製のルーフは装備しておらず、ブレーキ・ディスクも鋳鉄製。オプションでさえカーボン・ブレーキは用意されない。FR×LSD×6速マニュアルを純粋に楽しむためにあるクルマというわけだ。

まずはMIRAサーキットにて718ケイマンに乗る。

ステアリングは比較的軽めだが正確で反応がいい。ペダルの位置も、わたし専用のセッティングかと思うほど、しっくりとくる。オプションのシートも体をぴたりとホールドする。3台中もっともシャープかもしれない。

動的性能に関していえば、ケイマンは期待するすべてに対して的確に応えてくれる。可変ダンパーとLSD、カーボン-セラミック・ブレーキを選び、PDKとスイッチの多いステアリングを選ばないという組みあわせが理想ということも改めて感じた。

もっと欲をいうならば、タイヤを1〜2インチ小さくしたい。20インチを履くテスト車は見栄えはいいが、もっと小径の方がより身軽になれるはずである。

次はエンジンについて。もちろんこれについては語っておくべきだろうと思う。というのも、以前のテストでは軽やかに回り、朗々としたサウンドを聞くことができたのだが、今回はそう思えなかったからである。