ポルシェ718ケイマンS vs BMW M2 vs ジャガーF-タイプ
公開 : 2016.08.17 05:50 更新 : 2017.05.29 19:30
静止状態からフル・スロットルを試みると、かなり怠惰なゾーンがある。ちょうど2500rpmまでだ。そこから7500rpmは雑味なく気持ちよく回るのだが、残り1000rpmあたりは回す価値を見出しづらい。
ここが問題なのだ。かつてのケイマンは、レッド・ゾーンの手前まで回すだけの価値があった。もちろん718ケイマンのスピードに対する高効率性は認める。しかしそれ以前に718ケイマンはスポーツカーである。エンジンは推進源としての役割を果すとともに、興奮のタネにならずにどうするというのだろうか?
ジャガーF-タイプは、自らの立ち位置をよく理解しているように思える。F-タイプのラインナップのなかでは控え目だといわれても仕方がないV6でさえ、気持ちのよいサウンドである。低回転域のラグもない。
718ケイマンほどの速さではないし、動的性能もやや劣る。エンジンはフロントにあるし車重も重い。結果的にアジリティが劣るのは当然である。しかしそれよりも、よく曲がり、反応がナチュラルな点に価値を置きたい。
乗り心地に関しては、いかなるドライブ・モードでも718ケイマンよりソフトだ。といっても、低速域ではそれなりにボディをゆさぶるが、速度が増すほどに下からの衝撃はうまくいなすようになる。
ジャガーはF-タイプをデビューさせた際、スポーツカーを作ることに全力を注いだと言っていたが、今回集めた3台のなかではもっともグランド・ツアラーの毛色が強く、しかもそれを好意的に受け入れられた。
さて、最後はBMW M2だ。