インパネは、標準のコンチネンタルGTのシルエットこそ残っているが、それ以外は面影などない。

ターボ加給が施されるにもかかわらず、アイドリング時でさえアスファルトが砕け散るのではないかと思えるほど音はうるさい。クラッチは存在するが、ピットの出入りのみにしか使用されない。

乗ってみるととにかく速い。とてつもない車体の軽さ(ベントレーにこの言葉を使うのは不思議だが)と、マンモス級のグリップ力、レース・サスペンション、そしてもちろんエアロのおかげである。

シルバーストンのストレートでは274km/hに達し、ロードカーならばとっくにブレーキを踏んでいるところでも、さらに突っ込めた。その際の速度もいつもより80km/h程度でている。そこで一気にブレーキ・ペダルを蹴り込めば、即座にスピードは落ちる。

このようにかなりストイックなクルマではあるが、反面、驚くほどユーザー・フレンドリーな面もある。反応が素早いため挙動を予想しやすいからである。わたしがこれまでドライブしてきたレースカーのなかで、もっとも自信をもてるマシンだと言っていいだろう。

GT3-Rと比較しても、根本の部分には共通しているところがある。ドライバーを鼓舞する猛々しいサウンドと、ガシリとした剛性感などである。GT3がサーキット主義であるにもかかわらず、GT3-Rとどこかに通った空気感を放っている点にも、親近感が湧いた。

同時にGT3-Rが、GT3の単なるロード・ゴーイング版に終わらなかった点にも恐れいった。合法的で軽量、そしてドライビングに集中でき、なおかつ無意識のうちに畏敬の念を抱かせる。

これこそがベントレーなのだ。

ベントレー・コンチネンタルGT3-R

価格	£237,500(3,097万円)
最高速度	274km/h
0-97km/h加速	3.7秒
0-161km/h加速	8.2秒
ラップ・タイム	2分30秒
乾燥重量	2285kg
最高出力	580ps
最大トルク	71.6kg-m
出力重量比	254ps/トン

ベントレー・コンチネンタルGT3

価格	£463,00(6,038万円)
最高速度	306km/h
0-97km/h加速	2.9秒
0-161km/h加速	6.0秒
ラップ・タイム	1分59秒5
乾燥重量	約1285kg
最高出力	約578ps
最大トルク	約83.0kg-m
出力重量比	450ps/トン