メルセデス・ベンツE200アバンギャルド・スポーツ
公開 : 2016.08.24 05:55 更新 : 2017.05.13 12:49
まず感心したのは静粛性が高く、へんなバイブレーションをいっさい感じさせない4気筒エンジンだ。軽くアクセル・ペダルを踏み込むと、気持ちよくトルクが立ち上がってくる。それもいきなり頭がのけぞるような急激なものでなく、あくまでゆるかに。それでいてかったるさはいっさいない。走行中の中間加速についても同じ印象で、力強く、かつスムーズで、かつ静か。
最近のメルセデスの4気筒搭載車は総じて好ましく思っているが、新型E200アバンギャルド・スポーツのドライブを体験すると、その印象がさらに増幅されたような感覚だった。2ℓ4気筒でありながらなんと高級なのかといたく感心させられたのだ。それには静粛性の高い室内と、ハンドリングもいい影響を与えているかもしれない。
■どんな感じ?
メルセデス・ベンツE200アバンギャルド・スポーツのよさは、さきに触れたように先進技術がたっぷりというかんじで盛り込まれていることに加え、メルセデス車の大いなる美点である操縦性を継承しているところにある。
走り出してまず印象深いのは、ステアリング・ホイールを切ったときの車体反応だ。ゆっくりと安定して車体が同じ速度でロールしていく感覚である。小さなコーナーに入っていくときなど、多少速くステアリング・ホイールを切っても、車体のロールはゆっくりと、かつドライバーが姿勢を崩すこともなく、じわっと傾き、コーナーの出口に向かって車体のロールが持ち直すと、やはり車体は一定の速度でロールから立ち直っていく。
メルセデス・ベンツE200アバンギャルド・スポーツは、(他のモデルと同様)路面や走行状況に応じて油圧でダンピングを調整する「アジリティコントロールサスペンション」を備える。それも俊敏でいながら高速などでは快適な乗り心地をもたらす理由だろう。
ドライバーに不安感をいっさい感じさせないコーナリングをはじめ、路面の不整などに影響されないステアリング・ホイールなど、メルセデス車に乗り慣れたひとにはおなじみの感覚だろうが、これがじつは高速道路だろうが山道だろうが、道を問わずハイスピードで駆け抜けていけるヒミツのはずだ。不安なくアクセル・ペダルを踏めるのである。
加速も、ある時点から急激にトルクが立ち上がるような一般的な意味での “スポーティ” なものではない。必要なだけのトルクがどの回転域からも出る。エンジンは2000rpmから上でもりもりと力が出てくるが、9段のギアが細かく制御されていることも手伝っているのだろう、欲しいだけのトルクが瞬時に手に入る。この加速感覚は病みつきになるはずである。力不足と感じる場面はまずなさそうだ。