モントレー・ウィーク
8月の第3週の週末は、カリフォルニアのモントレーにあるラグナセカ・レースウェイではヒストック・カー・レースが行なわれ、ほど近いペブルビーチではコンクール・デレガンスが行われる。この他、同じ時期にカーメル・バイ・ザ・シーでもヒストリック・カー・イベントが行なわれ、オークションも幾つか開催されるなど、まさにヒストリック・カー・マニアにとっては最高の週末となった。今回、夏休みと称して、これらイベントを見て回ったモータージャーナリスト、山崎元裕が、これらイベントをレポートする。
Quail Motorsports Gathering
アメリカのカリフォルニア州モントレー。この地名はカー・エンスージアストにとっては、やはり特別な響きを持つものだろう。毎年8月第3週に、このモントレーを中心に、さまざまなクラッシックカー・イベントやクラブ・イベントが開催されるからだ。エンスージアストはそれを、「モントレー・カー・ウイーク」と呼ぶ。
自分自身の夏休みを兼ねて、今年もこのモントレー・カー・ウイークに足を運んだ。年々開催されるイベントが増え、したがってどのイベントをチョイスするのかには毎年悩まされるのだが、今年もモントレー・カー・ウイークのスタートは、金曜日にカーメルのクエイル・ロッジ・アンド・ゴルフクラブで開催される、「モータースポーツ・ギャザリング」と決めていた。イベントとしてのサイズはさほど大きなものではないが、参加車のラインナップは毎年素晴らしく、さらに入場者数を制限しているために、ゆったりとした雰囲気の中でエクスクルーシブなイベントを楽しめるからだ。ちなみにモータースポーツ・ギャザリングのチケットは、モントレー・カー・ウイークの中では、入手することが最も難しい。
タイトルにモータースポーツという言葉が掲げられているとおり、このイベントのバックグラウンドにあるのはモータースポーツのヒストリーだ。毎年、第二次世界大戦前、そして戦後の各クラスが設けられるレーシングカーやスポーツカーは、したがってこのイベントの主役。フェラーリのみのワンメイクとなる、グレート・フェラーリ・クラスにも、世界中のエンスージアストから熱い視線が注がれる。さらに今年は、ランボルギーニ・ミウラの50周年、BMWの100周年、そしてBMW Z8などが特集され、イベントを華やかに演出した。
モータースポーツ・ギャザリングでは近年、スーパースポーツやプレミアムカーのブランドから、ニューモデルがワールドプレミアされることも多くなった。今年はランボルギーニが、創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念してジュネーブ・ショーで発表した、チェンテナリオのオープン仕様、「チェンテナリオ・ロードスター」を初披露。クーペと同様に20台が限定生産されることがアナウンスされた。
日本のKEN OKUYAMA CARSから、やはりワールドプレミアされた「Kode57」も、そのデザインの斬新さでゲストの視線を集めたモデルだった。往年のフェラーリ250TR=テスタロッサのポンツーン・フェンダーを、現代流に解釈した独創的なフロントセクションに包み込まれ、ヘッド部分のみが露出しているV型12気筒エンジンはフェラーリによるもの。より個性的で美しいなスーパースポーツを望むスーパー・リッチには、このニューブランドは非常に魅力的な存在に映っただろう。
モータースポーツのヒストリーを彩ってきたレーシングカーやスポーツカー、そして最新のモデルまでをも楽しみながら過ごした、モータースポーツ・ギャザリングでの時間は、今年も実に有意義なものだった。