モントレー・ウィーク

8月の第3週の週末は、カリフォルニアのモントレーにあるラグナセカ・レースウェイではヒストック・カー・レースが行なわれ、ほど近いペブルビーチではコンクール・デレガンスが行われる。この他、同じ時期にカーメル・バイ・ザ・シーでもヒストリック・カー・イベントが行なわれ、オークションも幾つか開催されるなど、まさにヒストリック・カー・マニアにとっては最高の週末となった。今回、夏休みと称して、これらイベントを見て回ったモータージャーナリスト、山崎元裕が、これらイベントをレポートする。

text & photo:Motohiro Yamazaki (山崎元裕) photo:Yasuhiio Sato (佐藤靖彦)

Quail Motorsports Gathering

August 19, 2016 — Carmel. California

アメリカのカリフォルニア州モントレー。この地名はカー・エンスージアストにとっては、やはり特別な響きを持つものだろう。毎年8月第3週に、このモントレーを中心に、さまざまなクラッシックカー・イベントやクラブ・イベントが開催されるからだ。エンスージアストはそれを、「モントレー・カー・ウイーク」と呼ぶ。

自分自身の夏休みを兼ねて、今年もこのモントレー・カー・ウイークに足を運んだ。年々開催されるイベントが増え、したがってどのイベントをチョイスするのかには毎年悩まされるのだが、今年もモントレー・カー・ウイークのスタートは、金曜日にカーメルのクエイル・ロッジ・アンド・ゴルフクラブで開催される、「モータースポーツ・ギャザリング」と決めていた。イベントとしてのサイズはさほど大きなものではないが、参加車のラインナップは毎年素晴らしく、さらに入場者数を制限しているために、ゆったりとした雰囲気の中でエクスクルーシブなイベントを楽しめるからだ。ちなみにモータースポーツ・ギャザリングのチケットは、モントレー・カー・ウイークの中では、入手することが最も難しい。

タイトルにモータースポーツという言葉が掲げられているとおり、このイベントのバックグラウンドにあるのはモータースポーツのヒストリーだ。毎年、第二次世界大戦前、そして戦後の各クラスが設けられるレーシングカーやスポーツカーは、したがってこのイベントの主役。フェラーリのみのワンメイクとなる、グレート・フェラーリ・クラスにも、世界中のエンスージアストから熱い視線が注がれる。さらに今年は、ランボルギーニ・ミウラの50周年、BMWの100周年、そしてBMW Z8などが特集され、イベントを華やかに演出した。

モータースポーツ・ギャザリングでは近年、スーパースポーツやプレミアムカーのブランドから、ニューモデルがワールドプレミアされることも多くなった。今年はランボルギーニが、創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念してジュネーブ・ショーで発表した、チェンテナリオのオープン仕様、「チェンテナリオ・ロードスター」を初披露。クーペと同様に20台が限定生産されることがアナウンスされた。

日本のKEN OKUYAMA CARSから、やはりワールドプレミアされた「Kode57」も、そのデザインの斬新さでゲストの視線を集めたモデルだった。往年のフェラーリ250TR=テスタロッサのポンツーン・フェンダーを、現代流に解釈した独創的なフロントセクションに包み込まれ、ヘッド部分のみが露出しているV型12気筒エンジンはフェラーリによるもの。より個性的で美しいなスーパースポーツを望むスーパー・リッチには、このニューブランドは非常に魅力的な存在に映っただろう。

モータースポーツのヒストリーを彩ってきたレーシングカーやスポーツカー、そして最新のモデルまでをも楽しみながら過ごした、モータースポーツ・ギャザリングでの時間は、今年も実に有意義なものだった。

  • ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦などでお馴染みの、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス。今年のジュネーブ・ショーで世界初公開された、ロードモデルのSCG 003CSがクエイル・ロッジに姿を現した。

  • KEN OKUYAMA CARSは、斬新なデザイン・コンセプトカー、Kode57をワールドプレミア。フロントにはフェラーリ製のV型12気筒エンジンが搭載される。生産化への期待は大きい。

  • メルセデスAMGのメインステージには、最新モデルのAMG GT Rがディスプレイされた。そのデビューを300SLが華やかに彩る。

  • スウェーデンのケーニグゼグは、アゲーラXSとレゲーラを発表。

  • ブガッティ・ブースの主役は、もちろんニューモデルのシロンだ。

  • シロンのデビューを祝うかのように、ベイロンのギャザリングも実現した。

  • BMW Z8は、今年のモータースポーツ・ギャザリングでのフィーチャーモデルのひとつ。アルピナ・ロードスターを含め、27台がエントリーされた。

  • 今年の北米国際自動車ショーで発表されたプレシジョン・コンセプトが、NSXのGT3コンセプトとともに、アキュラ・ブースに展示された。

  • 創始者、フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念した限定車、チェンテナリオにロードスターが誕生。クーペ同様に20台が生産される予定だが、発表の時点ですでに全車が完売したという。

  • 50周年を迎えたランボルギーニ・ミウラも、今年のモータースポーツ・ギャザリングで特集されたモデル。20台以上ものミウラが揃った光景は、実に壮観なものだった。

  • フェラーリ275GTB。クラッシックカー・イベントでは最も熱い視線が集まるのは、やはりこのブランドだ。

  • フェラーリ250GTルッソ・コンペティツィオーネ

  • フェラーリ275GTB

  • 最新世代のスーパーカーによる、スーパーカー・クラスが用意されるのも、このイベントの特徴だ。ラ・フェラーリ

  • フェラーリ195Sヴィニャーレ・コンペティション・クーペ

  • フェラーリ365GTB/4

  • フェラーリ288GTO

  • ランボルギーニP400ミウラSV

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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