モントレー・ウィーク

Pebble Beach Concours d’Elegance

August 19, 2016 — Pebble Beach, California


モントレー・カー・ウイークの最後を飾るのは、今年が66回目の開催となる伝統のコンクール・イベント、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスだ。それに先立ってモントレー半島をベースに行われる、ツール・デレガンスでは、実際にコンクール・デレガンスにエントリーするモデルが走る姿を見学することもできるが、やはりクラッシックカー・エンスージアストにとっては魅惑の一週間の締めくくりは、ペブルビーチ・ゴルフリンクスの18番ホールが舞台となる、この静かでエレガントな雰囲気のコンクール・デレガンスが最も魅力的に思える。

日曜日の朝、夜明けとともにコース内に入場してくる参加車を迎えるのは、それだけでもひとつのイベントだ。朝方から午前中にかけては、深い霧に包まれることも多いペブルビーチだが、ここからカリフォルニアの太陽が姿を現し、徐々に眩しさに包まれていく時間は、貴重なクラッシックカーを見るには最高のタイミングだ。

毎年さまざまなフィーチャー・メイクス、あるいはモデルで我々の目を楽しませてくれるペブルビーチ・コンクール・デレガンスだが、今年はビッザリーニと、ル・マン24時間を制覇して50周年となった、フォードGT40、そして創立100周年を記念して、戦前と戦後の2クラスが用意されたBMWなどに注目が集まった。特にアメリカの誇りともいえるスポーツ&レーシングカー、フォードGT40にはプロトタイプを含め16台ものエントリーがあり、それぞれのヒストリーとともに見る者を魅了した。これほどのギャザリングは、もちろんこのペブルビーチ・コンクール・デレガンスを除いては、ほかに実現する可能性は低い。その歴史的な瞬間に立ち会ったエンスージアストは、その興奮を忘れることはないだろう。

コンクール・デレガンスとタイトルにあるように、このイベントでは毎年、クラッシックカーに深い見識を持つジャッジによる審査が行われる。そしてその中から、最後に一台の「ベスト・オブ・ショー」を選ぶことになるのだが、今年のコンクール・デレガンスで、228台のコンペティション・エントリーの中から、見事にこの栄誉を手にしたのは、1936年式のランチア・アストゥーラ・カブリオレだった。次回2017年は、イソッタ・フラスキーニやリンカーン・コンチネンタル、そしてアメリカン・ドリームカーなどがフィーチャーされる予定だ。

  • メルセデス・マイバッハは、ペブルビーチでクーペ6と呼ばれるEVのビッグクーペ・コンセプトカーをワールドプレミア。

  • 生誕50周年を記念して、今年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスには、ランボルギーニ・ミウラのクラスが設けられた。

  • 1971年式ランボルギーニP400ミウラS。素晴らしいコンディションで見る者を魅了した。

  • ランボルギーニに新設されたクラッシックカー部門、ポロ・ストリコによるフルレストアを受けた、1971年式のP400ミウラSV。このモデルは同年のジュネーブ・ショーに出品されたもので、前作であるSのディテールを兼ね備えているのが特徴だ。

  • ランボルギーニ・ポロ・ストリコによる証明書と、レストアの過程を示したブックレット。カスタマーには何よりのプレゼントだ。

  • 1963年式フェラーリ・400スーパーアメリカ・クーペ・エアロダイナミコ。18台が生産されたこのモデルのカスタマーには、ジャンに・アニエリなど、ビッグネームの名前が並ぶ。

  • 1967年式フェラーリ・365カリフォルニア・スパイダー。生産台数はわずかに14台だが、その中でもこの右ハンドル仕様は2台しか存在しない。

  • フェラーリをフィーチャーしたクラスは、グランドツーリングとコンペティションのふたつがあったが、こちらは後者にエントリーしていた330P4(S/N:0856)。レースでの華々しい戦績を持つ。

  • 1956年式フェラーリ290MM。このS/N:0626は、1956年のミレミリアでジャン・マヌエル・ファンジオのドライブにより、総合4位でフィニッシュした。

  • 1958年式フェラーリ250GT。このモデルに掲げられたTdF=ツール・ド・フランスのサブネームは、最近F12ベルリネッタの高性能モデルでリバイバルされた。

  • 創立100周年のBMWは、戦前、戦後、そしてモーターサイクルの3クラスが設けられた。このモデルは1939年式の328ミレミリア。ツーリングによるクーペボディーを持つ。

  • 1930年式BMW 3/15 DA2カブリオレ。

  • 1957年式BMW 503シリーズ1カブリオレ。ベルトーネによる流麗なボディーを持つこのモデルは、1956年から1960年にかけて129台が生産された。

  • 1956年式BMW 502バウアー・カブリオレ。502は第二次世界大戦後、BMWが初めてリリースしたV型8気筒モデルだった。

  • 1961年式BMWイセッタ300.ポリス仕様で多くのゲストから熱い視線を集めていた。

  • 今年のペブルビーチで特に注目されたのが、ビッザリーニのワンメーク・クラス。このモデルは1966年にイタル・デザインとともに製作された、P538・マンタ・コンセプトだ。

  • 1965年式イソ・グリフォA3/C。イソも、ジョット・ビッザリーニの残した作として見逃せないモデルだ。

  • やはりビッザリーニによって生み出されたアメリカン・モータースのAMX/3クーペも、今年のペブルビーチには2台が姿を現した。

  • 1967年式ビッザリーニ5300GTストラーダ。1969年にビッザリーニ社が活動を休止するまでに133台が生産された。

  • フィアット・カスタム・コーチワーク・クラスのエントリーも興味深かった。これは1953年式のフィアット1100をベースに、ヴィニャーレが独自のボディーを製作したもの。同年のトリノ・ショーで発表された。

  • 第二次世界大戦後のスポーツ・レーシングカーも、その存在感を強くアピールしていた。これは1962年式のカーチス・アグイラ。

  • 前のカーチスと同じクラスにエントリーしていた、1949年式ポルシェ356SLクーペ。

  • ブガッティは、やはりこのイベントでは毎年欠かすことのできないメイクスだ。

  • 2シーターのインディアナポリス・レースカーがフィーチャーされたのも、今年のペブルビーチでは話題だった。

  • 1930年代のインディカーは、今でもアメリカのエンスージアストに高く支持されている。

  • 今年がル・マン24時間レースを初制覇して50周年となるフォードGT40。ペブルビーチで実現した17台ものGT40によるギャザリングは圧巻だった。

  • 1968年式フォードGT40(P/1075)。1968年と1969年のル・マン24時間レースで勝利を収めた、特別な中にも特別なGT40。

  • 1967年式フォードGT40 Mk IV。1967年のル・マン24時間レースを制覇した。

  • 1967年式フォードGT40 Mk IV。ブルース・マクラーレンらのドライブによって、1967年のル・マン24時間レースを4位でフィニッシュしている。

  • 1965年式フォードGT/109ロードスター。スチールボディーを持つこのプロトタイプは、同年にシェルビー・アメリカンにデリバリーされた。

  • 17台ものフォードGT40のギャザリングを実現するのは、さすがに世界屈指のコンクール・イベント、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスだけのことはある。

  • 戦前のアンティークモデルにも、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスでは熱狂的なファンの視線が集まる。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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