アンダー340万円対決:サーキット編
公開 : 2016.09.02 05:50 更新 : 2017.05.29 19:57
ならばホットハッチはどうか? まずDS 3に乗ろうと思ったのは、ほかのテスターの記事を読むかぎり、最下位になる可能性が高かったからだ。
ただ、30秒ほど走らせたところで、それは単なる先入観だったということがわかった。実に楽しいのだ。反応がよく正確。ノーズは軽く向きを変える。いくばくかのトルク・ステアこそあれど、これは ‘インフォメーション’ と呼べるレベルだし、刺激的なエンジンを回すほど、フロントがよく粘っていることもわかる。
LSDのおかげで効率的にパワーが伝わっているのもわかるし、大型のホットハッチのように、あっという間にタイヤが加熱しすぎてしまう心配がないのもいい。オーバーすぎることもない。適度であることを研究しつくした、この価格帯ならではの旨味があるのだ。
同じくらい熱中できるのが、ルノー・クリオ・トロフィーだ。シャシーは、お楽しみのためというより、シリアスな走行を考えた仕立てだが、それゆえ敏捷でアジャストしやすいのがメリット。ややブレーキを引きずりながらコーナーに侵入すると、DS 3に比べてリアの挙動が掴みやすいという長所もある。
ステアリングは軽く、ノーズの動きは正確。ほか2台のホットハッチに比べるとパワーがあるが、これも楽しさというよりもシリアスさの方に振っている。
これが吉とでるか凶とでるかは、おのおののタイプにも寄ろうが、わたし自身、DS 3の鷹揚さを恋しく思った点は、あえて書き記しておこう。
DS 3が節度を兼ね備えたホットハッチ、クリオがシリアスなホットハッチだとすれば、おもしろさを全面に感じられるのがフィエスタだろう。
先にフラストレーションを感じる点から。まずエルゴノミクスが話にならない。ダッシュボード上の散らかったスイッチ類は絶望感を覚えるし、ドライビング・ポジションも完璧とはいえない。
しかしハンドリング、ギアボックス、レスポンス。すべてがスイートであり、人間味に満ちている。ナチュラルであるだけでなく、ドライバーを鼓舞してくれる。直感性が高く、3台中もっとも古典的だともいえる。先代からのパワー・アップも手に取るように感じられる。音も勇ましくなっている。最高のホットハッチと呼ぶことに迷いはない。
次回、対決の舞台は公道へと場所を移し、最終的な順位をつけていきたいと思う。
▶ 海外初試乗 / フィアット124スパイダー
▶ 海外初試乗 / マツダ・ロードスター2.0
▶ 海外初試乗 / DS 3パフォーマンス
▶ 海外初試乗 / ルノー・クリオRS220トロフィー
▶ 海外初試乗 / フォード・フィエスタST200