ポルシェ718ケイマン2.0
公開 : 2016.09.09 05:40 更新 : 2017.05.29 19:03
正直にいうと、先代より良くなっている。あまり言われていないことかもしれないが、かつての2.7ℓは、お世辞にもシャンシャンと軽く回るものではなかった。
それがどうだろう。あたらしい2.0ℓも、もっと排気量の小さいものに比べると、ある程度の重いフィールがあるものの、そんなことを考えているあいだにパワーが立ちあがるから、体感的によく感じるのだ。
ほかのターボ・ユニットに比べるとブースティと言おうか。拳を突きだすような力強さがある。2000rpm以下ではターボ・ラグがあるのは確かだが、そのぶん、ミド・レンジで巻き返してくれる。スムーズである。
結果的にこれまでのものと比べると、乗りやすく感じる。ギア比のセッティングもよい。忘れがちだが、7500rpmまでなら無理なく回るのもよい。
(もう一度言うが)これまでのケイマンほどメロディアスではない。スポーツ・エグゾーストのバルブを閉じると、なんだか、くすぶっているような音もする。逆にONにすると、勇ましい音があたりに響く。
どれだけ走ったかわからない、いつものタイトな左コーナーを回りこんでみると、これまでのケイマンよりも速く走れることに気がつく。ブレーキ・ペダルの感覚もソリッドだ。おかげで躊躇することなくペダルを蹴りこむことができる。1988年のモナコを走るセナになった気分だ。
ターンインでは、思考する→舵を切る→ノーズが向きを変えるというよりも、思考する→ノーズが向きを変える、といった、極めて直感的な印象である。だからといって、過剰にクイックというわけではなく、あくまで自然。重みも非の打ち所がない。正確でもある。
手元に伝わる情報も豊富。ステアリングがわずかに重くなっているおかげで、アンダーの処理もしやすい。
ミドル・コーナーの落ちつき、そしてバランスにも目を見張る。パワーの与え方ひとつで自然と向きを変えるのもよい。車格にしては乗り心地もよい。