日産GT-R Premium edition
公開 : 2016.09.23 05:50 更新 : 2017.05.29 19:26
■どんな感じ?
そこでまずは公道で乗ったのが、鮮やかな新色、アルティメイト・シャイニー・オレンジのボディを持つPremium editionだった。ダッシュボードやシートにタンのレザーが張られたコクピットは、プレミアムなスポーツGTらしい雰囲気を醸し出す一方で、全体のレイアウトやメーター類は基本的に従来型と変わらないから、GT-Rらしさも存分に感じられる。
もう少し着座位置が低ければよりスポーツカーらしいのに、と思いつつ房総半島にあるゴルフ場のクラブハウスから走り出しても、こいつはまさにGT-Rだった。匠(といってもワタシではない)によって手組されたエンジンは、踏み込めば即座に反応してボンネットの下で獰猛な唸りを上げ、4WDの駆動系が車重1770kgという決して軽くないボディを力強く蹴り上げる。
自動車専用道に乗って深めのスロットルを与えると、エンジンは心地好い咆哮を奏でてトルクを膨らませ、GT-Rは猛然とスピードを上げていく。VR38DETTという長い型式名を持つこのエンジンの存在感こそR35 GT-Rの魅力の根源だと僕は認識していたが、それは幸いにも2017年モデルでも明確にキープされていたのだった。
今や7段もしくはそれ以上が常識になった観のある高性能車の2ペダル・トランスミッションの世界にあって、GT-Rはデビュー時と変わらぬ6段型を搭載している。だがこの6段DCT、デビュー当初と比べると変速はぐっとスムーズになり、ノイズもほとんど耳につかなくなった。シフト・パドルがコラム固定式からステアリング・ホイールと一緒に回転する方式に変わったのは、一長一短というところだろう。
しかも、2017年型GT-Rの魅力は、パワートレインだけにあるのではない。走り出すと同時に実感できたのは乗り心地の快適なことで、サスペンションは依然として硬めではあるのだが、記憶にある過去のGT-Rと比べて動きがスムーズで、ボディの上下動が明らかに少ない。
ホイールベースに対して前後オーバーハングが比較的長いボディゆえピッチングは皆無とはいえないが、電子制御アダプティブ・ダンパーのモードがオールラウンドなノーマルのままでも、乗り心地はすこぶる快適なものだった。タイヤは20インチのダンロップスポーツMAXXを履いていたが、刷新されたボディ剛性が効いているのだろう、バネ下の重さを意識させられることもない。
その一方で、ハンドリングに関する進化も明確に感じ取れた。まずステアリングの感触からフリクションや雑味がなくなった印象で、重量的には重いはずのノーズが、切れば俊敏かつスムーズに回頭する。Premium editionでは公道しか走らなかったため、限界的なコーナリングについては不明としておくが、コーナーが待ち遠しいクルマなのは間違いない。