トヨタ86リミテッド

公開 : 2016.10.04 05:50  更新 : 2021.01.28 18:11

86はあえてハイグリップ・タイヤを履かずに、ドライバーのクルマをコントロールする楽しみを味わってもらうのがコンセプト。ただ、その分、軽快を通りこして動きが少しばかりテール・ハッピーになりすぎることもあったが、後期型はいい意味でドシッとした落ち着きもみせるようになった。やはりリア周りの剛性が高まり、サスペンションがスムーズに動くようになった効果が大きいようだ。SACHS製ショックアブソーバー装着車はボディの動きが抑えられ、トラクションもグッとかかる感覚が強くて頼もしいが、今回のようなウエット・コンディションの中では標準のショーワ製ショック・アブソーバーの素直でしなやかな動きも好ましい。

前期型はこんなコンディションで走ると、さほど攻めたつもりがなくともVSCが介入してくることがあり、しかもそれが唐突で強く、作動音も大きいので興醒めとなっていたが、後期型ではシャシー性能が向上するとともにVSCも介入が少し遅くなったため、心地よく走れる。介入したとしてもガガッ! というお仕置き感がマイルドになっている。

例のアルミテープについては、前期型で装着・未装着での乗り比べを行った。ステアリング・コラムに装着すると、フロント・タイヤ周辺が整流されるそうで、たしかにステアリングの中立付近から微舵領域での座りの良さがちょっと増した感覚になる。さらに前後パンパーとフロント・ウインドーに装着すると、乗り心地が硬くなった。車体が路面に押しつけられた感覚になるのだ。つまりは、安定感が増したということ。正直に言ってあまり期待していなかったのだが、比較試乗で神経を集中させれば体感できるぐらいの効果があるのは驚きだった。トヨタでは86だけではなく、すでにボクシー/ノアなどにも採用しているという。

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