■どんな感じ?

記事を書くに当たって現行型XC60の登場年月の確認をしたのだが、ちょっと不可解な気持ちになった。時代に先行するようなアドバンテージはないにしても、試乗印象は最近デビューしたモデルのように錯覚してしまう。8年近く前、下手すればFMC2回分にもなる時間を経ても、古臭さが感じられないのだ。

冒頭でも述べたようにMCや年次改良が時代に取り残されることなく戦闘力を保つ秘訣。ハードウェア面ではDrive-Eの導入が象徴的だが、単に数値をよくするのではなく、乗り味や走りの質感において、つまりドライバーや乗員の感覚で進化を実感できるのが見所だ。

直5時代と比べた走り全体の印象を一言にまとめるなら「軽快」である。ただし、質感や快適性に重要な厚みや重みが減ったわけではない。エンジン・フィールこそ直5より重質さが減っているが、実用域の力強さや巡航からダウンシフトなしでの加速のよさなど、ドライバビリティも余力も大きく向上している。とくに高回転を得意としたエンジンではないが、5000rpm以上のトルク低下も少なく、マニュアル変速でスポーティに走らせれば「らしい」楽しみも味わえる。