ボルボXC60 T5 AWD クラシック
公開 : 2016.10.14 05:55 更新 : 2017.05.29 19:07
8速ATは走り出しを除けばロックアップを維持。変速時の解除もごく短時間であり、DCTと遜色ない小気味いい変速感を示す。もちろん、トルコン式なので変速時の加速の途切れは皆無であり、ロックアップ・クラッチの断続も非常に滑らかだ。
フットワークも進化の要点のひとつ。最初期モデルでは高速向けの高減衰の典型的な特性だったが、近年では日常域の乗り心地とのバランスを考えた設定になっていた。これはボルボ車全体の傾向でもある。そこからもう一歩踏み込んだのが新T5でもある。
改良要点にはないのだが、7月にMCしたV40と同様にサス・ストローク制御の洗練は向上していた。具体的には動き出しのスムーズさと据わりのよさ。滑らかな路面追従感と揺れ返しの少ないストローク制御が乗り心地では細かな路面からの振動を抑え、操安面では過渡域での安定感を高める。高速のロング・ツーリングでもワインディング・ロードでも、あるいは市街地走行でも落ち着いた運転感覚とSUVとしては肌触りのいい乗り味を示した。
身体に馴染みやすいしなやかな張りを持ったシート。ガラス・ルーフは屋根全体の2/3近い開口面積があり、運転席上部はスライド開口も可能。車室の寸法的アドバンテージはそれほどでもないが、上品な設えのよさや開放感がくつろぎの時間を上手に演出してくれる。この居心地と違和感なく調和する走り。良質な距離と時間を過ごせるクロスオーバーSUVなのである。