アウディ、2017年シーズンをもって世界耐久選手権から撤退か

公開 : 2016.10.15 04:50  更新 : 2017.06.01 00:35

日本では、昨日からWEC富士6時間耐久レースが開催されているが、そんな折も折、ル・マン優勝13回を誇るアウディが、2017年を最後に世界耐久選手権から撤退するかもしれないというニュースが飛び込んできた。アウディは、この件に関してコメントするのを避けている。

この情報は、チェアマンのルパート・シュタドラーに近い関係者が語ったもの。特に今年 “ディーゼルゲート” が発覚したフォルクスワーゲン・グループにとって、経費を削減することが求められているのが原因のようだ。そのため、多大な予算を使うモータースポーツに白羽の矢が当たったというわけだ。

実際、アウディはLMP1に年間€2億(228億円)の予算を組んでいるという。アウディとポルシェという同じグループ内での戦いが世界耐久選手権では行われているという事実と、世界耐久選手権と言えども、その注目はそのうちの1戦であるル・マン24時間に絞られるということも問題視されている。

そういったレースに出費することよりも、フォルクスワーゲン・グループとしては、2025年までに25台のEVを導入すると公言したことに対する出費に使うことのほうがプライオリティは高いのは当然で、ベントレーの社長であると同時にフォルクスワーゲン・モータースポーツの責任者でもあるウルフガング・デュルハイマーにEVを優先させろという厳命がなされたとAUTOCARは読んでいる。

また、ディーゼルゲート事件の余波で、アウディLMP1で開発されているディーゼル技術がもはや魅力的でなくなったということもある。フォルクスワーゲンのチェアマン、マティアス・ミュラーは、今後はディーゼル・エンジンの割合を減らしていき、ガソリン・ハイブリッドとEVにシフトしていくという決定をしたからだ。つまり、アウディLMP1のディーゼル・ハイブリッドの開発は、メーカーにとって魅力を失ったということだ。

更に、2018年から世界耐久選手権に導入される新しいレギュレーションも撤退を決めた理由であるとされる。これは、10メガ・ジュール・ルールと呼ばれるもので、大きなモーターが必須となるルールだ。現在、アウディLMP1は、3.7ℓV6ディーゼル・ターボに6メガ・ジュールのモーターを組み合わせているが、これに大きな改造が必要となるからだ。

アウディは、人気も高いとは言えない世界耐久選手権に出場するよりも、最近人気を博しているGT3、GT4レースに魅力を感じているようだ。世界耐久選手権撤退によって浮いた資金の幾ばくかを、こちらに回すということも考えているようだ。

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