日産/三菱のトップ2名との一問一答
2016.10.20
三菱は、日産による2370億円の出資完了を受け、日産が三菱の発行済み株式の34%を保有する単独筆頭株主となったことで緊急会見が行われた。以下はその際の一問一答だ。
ゴーン社長、ルノーと日産、三菱の3社を同時にマネージメントする上での懸念は?
カルロス・ゴーン:かつて日産を立て直す際にも同じことを聞かれましたが、現時点で懸念や不安を話す必要がどこにありましょうか?
というのも、常にトップは「業績のみ」が評価の対象です。業績が悪ければ、トップのせい。業績がよい場合もトップの判断によるもの。
いまこの場で懸念を語るよりも、「株主に何をしてあげられるか?」が大切だとおもいますよ。
益子社長、以前あなたは組織を引き継いだあとに退任を明言していましたが、今は続投という立場をとっています。退任の予定はないということですか?
カルロス・ゴーン:わたしに応えさせてください。たしかに益子さんは退任の意向でしたが、残ってほしいと懇願したのはわたしです。
どうして留任をお願いしたかというと、それは三菱の社員のためです。益子さんは、だれがなんというと有能な人物です。社員の精神的支柱でもあります。
「ゴーンに乗っ取られた」のではなく、わたしはアドバイザーとして、益子さんが三菱を立て直すことを望んでいます。わたしは益子さんのプロ意識に敬意を表しています。
でしたら益子社長、今後どのように改革を?
益子修:まず、現時点ではアウトランダーを代表とするPHEVがまだまだ国内では限定的な存在ですから、ルノー日産が既に築いている部分を利用する意向です。厳密には、インドネシアでの販売数をまずは伸ばしたいです。
また、ルノー日産の力をお借りして、物流費と設備コストを下げたいです。また効率向上も目指しています。
北米の市場をみると、日産は順調ですが、三菱は良好とはいえません。これに対しては?
益子修:日産と三菱ではラインナップが異なるため直接比較することは難しいですが、われわれは「過去の北米における失敗」を引きずっている部分があります。ここから学び、もう一度勝負したいという意志もあります。具体的にはRVRやアウトランダーを売りだしていきたいと思います。
ゴーン社長、出資を超えた関係性にあるように思えますが?
カルロス・ゴーン:たしかにこれは単なる出資を超えています。CEOは常に相談する相手が必要です。今回はわたしが益子さんの相談役です。具体的にはルノー日産の優秀な人材を三菱と共有したいと思います。
益子社長、信頼損失の問題は現時点でどれくらい解決していますか?
益子修:現時点でも究明中のところがありますが、ゴールを10合目とすると、いまは6〜7合目まで来ていると思っています。このタイミングでルノー日産の力を借りることができるのはとてもありがたいです。社員の意識を変えていくことも大切だと思っています。