充電不要のEV、日産ノートe-POWERを発売
2016.11.02
日産は、ノートに新パワートレインのe-POWERを追加し、あわせてノート全車を仕様向上して発売した。
e-POWERは、電動パワートレインの一種で、搭載するエンジンにより発電し、その電力でモーターを駆動して走行する。モータードライブならではの力強くレスポンスの良い加速と、優れた静粛性が特徴となっている。
ガソリンで走る電気自動車
通常の発進や走行時には、エンジン停止のまま強電バッテリーから電力を得て発進。このため夜間・早朝でもエンジン音を気にする必要がない。また、バッテリーの残量や車速に応じてエンジンが始動するため、電欠状態にならないのも特徴である。エンジンが始動した際にも、音が気にならない回転域を維持して充電を行うという優れものだ。
急加速や登坂時などには、強電バッテリーにくわえ、エンジンで発電した電力が直接モーターに供給される。
減速時にはエンジンを停止し、回生発電して充電、停車寸前まで回生することができる。
つまりこのシステムでは、外部電力からの充電が不要で、通常のガソリン・エンジン車やハイブリッド車と同様、ガソリンの給油のみで走行できるのだ。
なお、エンジンは現行ノートのものがベースで、インバーターとモーターはリーフの技術を採用している。このため、e-POWERは新システムでありながら、実績十分のユニットで構成されるのだ。
また、搭載されるエンジンは発電専用であり、高効率な発電をするよう自動制御される。その結果、アクセル開度による影響をうけにくく、優れた燃費を実現するという。
ワンペダル運転という新感覚
エンジンはHR12DEで、標準のノートと同じ型式であるが、上記のように発電専用制御を受ける。エンジンの最高出力は79ps、最大トルクは10.5kg-m。
これに組み合わせるモーターはEM57で、109ps/3008-10000rpm、25.9kg-m/0-3008rpmを発揮。強電バッテリーはリチウムイオン電池だ。
操作特性としては、e-POWER Driveモードによるワンペダル感覚の運転が新しい。これは、スロットルペダルの踏み戻しだけで加速・減速を楽に行えるe-POWERならではのモードだ。日産の公道実験では、ブレーキ・ペダルを踏む回数が7割減少したという。
この結果は、エンジンブレーキの3倍の減速度がアクセルだけでコントロールできる特性もさることながら、アクセルを徐々に戻す・パッと戻す、といった意図のある減速にも対応するよう作り込んだ成果が大きいようだ。
このパワートレインによりe-POWERの燃費は、Sグレードで37.2km/ℓ、Xおよびメダリストで34.0km/ℓとなる。これは燃料タンク満タンで1000km以上走行する計算だ。
発表会に登壇した日産の星野朝子専務執行役員は、「このパワートレインはもはや発明なのです」と、e-POWERが新たな電気自動車の提案であることを印象づけた。
今回の発表にあわせノート全車については、内外装に新デザインを採用したほか、スマート・ルームミラー(インテリジェント・アラウンドビュー・モニター表示機能付き)追加により安全装備を向上。助手席バニティミラーを新たに装備するなど、使い勝手を向上した。
価格は、ノートe-POWERが1,772,280円から2,244,240円。ノートが1,393,200円から1,929,960円。