フォルクスワーゲン・ゴルフ1.4TSI ACT 140 5ドア
公開 : 2012.11.28 16:10 更新 : 2017.05.29 18:58
■どんなクルマ?
英国の一般道で、はじめて新型フォルクスワーゲン・ゴルフのテスト・ドライブを行った。海外でのテストでは、その完成度の高さに感動したが、果たしてどんな結果がまっているのだろうか。
ただし、英国でのテスト車輛も残念ながら左ハンドルであったから、ドライバーは道の縁石に近い方に位置するため、その路面状況に左右されやすいという状態であった。
モデルは、シリンダー・ストップ機能を備えた138bhpの1.4リッター・ターボ・ガソリン・エンジンで、6速マニュアル・ギアボックスが組み合わせられていた。
■どんな感じ?
印象は良い。ドライビング・ポジションは、ストレート方向とワイド方向にアジャスト可能で、シートも快適でサポートも充分だった。特に腿の下のサポートが高いのが良かった。
ステアリング・ホイールは、薄いがフラットなセクションがあって握りは良く、クルーズ・コントロール、電話、オーディオといったスイッチが集中してコラムに付けられている。
キャビンの材質も素晴らしい。ソフトなフィーリングを持つプラスティックはドア・トップとダッシュボードに用いられ、その他はハードではあるが深み、厚みのあるものだ。低レベルという言葉はどこにも当てはまらない。すべてに高級感が漂っているといった感じだ。
リアのスペースも十分で、それが4.3m以下のクルマであることを考えると驚きに値するものだ。もし、あなたが一回り大きなクルマからダウンサイジングしてこのゴルフに乗り換えても、その広さには充分満足するものと思われる。
そのドライビング・フィールはゴルフそのものといって良い。そして、225/45R17タイヤを履くテスト車輛の乗り心地は、恐ろしいほど滑らかだった。気持ち良いほど一貫した調和性を持つペダルの重さや、ポジティブなギアボックスによって、ゴルフを精密で能力の高いクルーザーとしているのだ。
1.4リッターのターボ・ユニットは、ほとんどそのサウンドを聞かせることなく6000rpmまで回転する。決して高回転型でなく、パワー・バンド、トルク・バンドともに非常に広い。ターボのタイムラグもほとんどないが、一瞬、躊躇することがあったのも事実だ。それが何が原因でそうなったかを知ることは難しいが、介在しているコントロール・システムが原因なのでないかと思われた。特に疑われるのはシリンダー・ストップ・システムであろう。
小さな短所はいくつかあるものの、総じて評価は高い。
ゴルフは、正確にそして滑らかにドライブできるクルマだ。ただし、アウディA3やフォード・フォーカスのようなダイナミックで機敏な感じはしなかった。とはいうものの、もし、アグレッシブなドライビングを望むのであれば、それは伝統的にゴルフの守備範疇ではない。
しかし、新しいゴルフは、粘り強いフロント・エンドを有している。その安定性の高さも素晴らしい。熱心なドライバーにも、十分応えられるだけのパフォーマンスを持っているといえよう。
■「買い」か?
上記に書いたマイナスな部分は単なるあら探しにしかすぎない。あらゆる点でゴルフは素晴らしいクルマだ。イージー・ドライビングで、満足が得られ、数値の上では21.3km/lという燃費を稼ぎだしてくれる。実際、われわれのテストでも15km/l台をマークした。
あなたが、プジョー、シトロエン、フィアット、ルノー、ホンダ、トヨタといったファリミー・カーを所有しているのであれば、ゴルフの存在は悪夢であるといってもよいほどだ。
もちろん、他のブランドに勝ち目がないわけではない。フォード・フォーカスは軽いガソリン・エンジンでダイナミックな走りを味わえるし、アウディA3はより高級感があるし、ボルボV40は気持ちの良い走りを味あわせてくれる。しかし、総合的に見ると、ゴルフに及ばないというのも事実である。
(マット・プライヤー)
フォルクスワーゲン・ゴルフ1.4TSI ACT 140 5ドア
価格 | 22,960ポンド(300万円) |
最高速度 | 210km/h |
0-100km/h加速 | 8.4秒 |
燃費 | 21.3km/l |
CO2排出量 | 112g/km |
乾燥重量 | 1270kg |
エンジン | 直列4気筒1395ccターボ |
最高出力 | 138bhp/5000rpm |
最大トルク | 25.4kg-m/1500rpm-3000rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |