日産ノート e-POWER メダリスト
公開 : 2016.11.11 05:50 更新 : 2017.05.29 19:26
■どんなクルマ?
冷静に考えれば「なんでいままで出なかったの?」というメカニズムを搭載したノートe-POWER。実際に乗ってみてその素晴らしさが実感できた。久々にヒットの予感のするモデルだった。
このノートe-POWER、単純に言えば、従来からノートに搭載されている直列3気筒DOHC1198ccのガソリン・エンジンをレンジ・エクステンダーとして使用し、駆動は全てモーターで行うEVということになる。立派な1198ccエンジンは、フロント・シートの下に納められたリチウム・イオン・バッテリーに発電機を通して電力を供給するだけの用途に使われ、直接アクスルを駆動する用途には一切使われない。そのメカニズムはBMW i3のレンジ・エクステンダーとほぼ同様だが、i3が647ccという軽乗用車規格のエンジンをあくまで補助的なパワー供給源として使用するのに対し、ノートは1.2ℓという立派なエンジンを搭載しているのが大きな違い。そのため、必要とあらば常にバッテリーにパワーを供給することが可能なのだ。また、その結果、バッテリーも小型で済むこととなる。
従って、i3のレンジ・エクステンダーよりはエンジンが起動している時間は長い。しかし、それでも従来型のハイブリッドよりもエンジンの起動している時間と比べると、約半分だというから、当然、ガソリンの消費量も少ない。また、ガソリン・タンクもi3が9ℓなのに対し、ノートe-POWRは41ℓもあるから、エンジンを起動できる時間に圧倒的な差がある。燃費の公称値はJC08モードで34.0km/ℓだが、仮にカタログ数値の8掛け、27km/ℓの燃費だとしても、1回の給油で約1,100kmほど走れることになる。この航続距離はいままでのどのEVでも成し遂げていない数値だ。これで、やっとEVも通常の使用に耐える万人向けのレベルになったということができる。
もちろん、レンジ・エクステンダーを使っているため、CO2の排出はあるわけで、ゼロ・エミッションのEVではないが、これも確かにEVのひとつのカタチではある。ちなみに、CO2排出量は、e-POWER Sで62g/km、e-POWER Xおよびメダリストでは68g/kmということだ。
あとひとつ。肝心なことを忘れていた。このノートe-POWERは、他のEVやPHEVのような充電コンセントがない。つまり、充電不要なクルマなのである。