マセラティ・レヴァンテ・ディーゼル
公開 : 2016.11.21 05:40 更新 : 2017.05.29 19:12
その理由はひとつしかない。2205kgもある車輌重量だ。F-PACE 3.0Dと比べればトルクは10kg-mほど少ないのに、300kgも重いのである。
数年前、同じドライブトレインのギブリに試乗した際、われわれはそのパフォーマンスを “妥当” と評価したが、SUVに搭載するには物足りない普通のエンジンに過ぎない。こうなると、マセラティにふさわしいユニットとは思えなくなる。
マセラティにとって皮肉なことかもしれないが、レヴァンテはスムーズな路面を走っているのがちょうどよく、ちょっとむずかしい路面になるとシャシーは特にイレギュラーな挙動を示すときもある。
一方シート・ポジションは、プレミアムSUVの規範に則ったもの。つまり、コマンド・ポジションを尊守し、‘下界’ を見下ろすような感覚だ。
これはこれで悪くないのだが、しばしばエア・サスペンションの見せる傾向に妨げられる。路面からの入力を吸収するのではなく、均衡点を探して穏やかながら上下動を繰り返すのだ。
少なくとも英国の路面では、スイートスポットを見つけることは難しそうだ。
レンジローバー・スポーツと比較すれば、レヴァンテの走りはやや洗練性に欠けるのも問題。さらにペースを上げてみれば、とてもレンジローバー・スポーツ同じような美徳を享受できるクルマではないことも明らかになる。