ベストドライバーズカー選手権2016 / サーキット編

公開 : 2016.11.23 05:50  更新 : 2017.05.29 18:21

ホンダNSXの、公道上での ‘あと一歩’ という感覚は、サーキットでも同様だった。「バランスは素晴らしい。バカげた重さのクルマだけど、うまくそのウエイトをごまかしてるね」とはフランケルの感想だ。

ステアリングはロック・トゥ・ロックが2回転以下で、フェラーリ並みにクイックだがそこまで神経質ではない。しかし、電子制御の類をオフにできないのはいただけない。V6ツイン・ターボを補佐するモーターがフロントに2基、リアに1基備わることで、補正を掛けざるを得ないのだろう。

コーナーを抜けると、ぎこちなく直進へ戻ろうとする。ただし、そこにはスイートスポットが、実に狭いのだが確かに存在する。ステアリングは適切なスピードで丁寧に操作し、ブレーキを適切に残して、スロットルを優しく操作してパワーを過不足ないよう掛けてやれば、驚くほど速く走れる。

「保護者の同意が必要、なんて注意書きがついてきそうだよ」といったフランケルの結論に、一同納得だ。「印象的だけど、楽しいわけではない」

価格帯でも、今回のテストでも、NSXのライバルになりそうなのはマクラーレン570Sだ。兄貴分の675LTより装備内容は抑えられているが、それらは公道ではプラスに働いた。

サーキットでも、そのステアリングや身のこなしはみごとで、300kg以上も重いNSXなど歯牙にも掛けなかった。

ただし「公道で乗ったときの方がよかった」とカケットに言わしめた理由は、LSDを装着していないことだろう。ブレーキを用いた疑似LSDデバイスは、ブレーキを引きずってコーナリングするのと同じこと。それであれば「911や488のアジャスト性能に軍配が上がる」というわけだ。そしてエンジンも、その2台のほうがベターだ。

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