text & photo:Kentaro Nakagomi (中込健太郎)
日産車をベースにしたファクトリー・カスタムを展開するオーテックジャパン。レーシングカー用のエンジンから福祉車両まで、その範囲は極めて広い。今年はオーテックジャパン創立30周年の節目の年。オーナーのWEBコミュニティ・オーテック・オーナーズ・グループ(AOG)のオフ会であり、年に一度全国に嫁いでいったオーテック車が、本社のある湘南に里帰りするというAOG湘南里帰りミーティングが、今年も大磯ロングビーチ駐車場で開催された。
このイベントはメーカー主催ながら、販促に主眼を置いたイベントとは一味違う。まず、スポーツカーから、セダン、ミニバン、得意とする福祉車両から、業務用に架装を施したモデルまで車種を問わずオールジャンルが参加できるのである。しかも新車購入したユーザーのみならず、オーナーであれば参加可能だ。
オーテックジャパンは主催者として場を設けても、あくまでも主役はユーザー。イベントの内容も、プロモーション色はさほど濃くはなく、ニューモデルが展示される程度。わからないことは気軽に近くの社員に聞くという程度だ。しかしだからこそ、マイカーの後継モデルへの興味関心は自発的に、キャッチアップ。リピーターはむしろ増え、周囲への口コミなどの効果は、年々参加者が増え続けているこのイベントの賑わいを見れば一目瞭然だ。
今年はあいにく雨の予報が事前から出ていたこともあり、雨天進行。例年なら野外で行われているプログラムは、大幅に屋内での開催に切り替えられた。
創立30周年の節目となる今回の里帰りミーティングだが、春にNISMOのトップと兼務というかたちでオーテックジャパンの代表に就任した片桐社長は、何を隠そう、このユーザーミーティングを初めて開催したときにも社長を務めていたその人だ。開会式では「こうして毎年続いていることがまずうれしい限り。これからもいいクルマをたくさん作っていきたい」と抱負を語った。
様々な参加車両もさることながら、30周年にちなみ30台が限定販売されるマーチ・ボレロA30も会場に展示。初めて実物を見る参加者も多くかなり注目の的、すでに完売しているこのクルマの抽選に外れたことを改めて悔しがる参加者の姿も見られた。
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8時開門と同時に大勢の参加者が順番に入場する。あいにくの空模様だが出足の鈍さは感じられない。
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イベント全体は雨天進行となり、例年車種ごとに並べられていた駐車エリアも、今年はランダムだった。
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車種ごとの整列も圧巻だが、ランダムに参加車両が停められる今年のスタイル、オーテック車の幅広さが際立つ。
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オーテックザガート・ステルビオは2台参加していた。近年密かにその価値が見直されているモデルの1台だ。
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こちらはご常連、シルバーの個体。ナンバーの2757はイタリアのステルビオ峠の標高に由来する。
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クルマのそばでは話に花の咲く光景が多数見られた。スカイライン・オーテックバージョンはさりげない。
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マーチは車種別だとやはりトップの台数がエントリー。クルマ趣味の入門者からエキスパートまで広く唸らせる。
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オーナー同士の交流もこのイベントの楽しみのひとつ。乗っている車種は違えどオーテック車への愛情は同じだ。
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クエストはオーテックジャパンが輸入整備を手掛けていたクルマだ。なかなかこのイベントでも見られない1台。
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ニューモデルの展示は30周年記念モデルを中心に。オーナーはかなり熱心に見入っていた。
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開会式にて。白バイに先導されてマーチ・ボレロA30が登場。場内は拍手とどよめきに包まれた。
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そのマーチ・ボレロA30からはゲストの松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手、RQの菅野麻友さんが登場。
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さらにそのマーチ・ボレロA30を護衛するように、神奈川県警のスカイラインGT-Rパトカーが。
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今までは社内の有志が手掛けてきていたマスコットだが、今年は参加者から公募された。
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オーナーズ・イベントをスタート時も社長を務め、再び社長に就任した片桐隆夫氏は参加者を前に決意を語る。
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各受賞者とゲストとの記念撮影。北は北海道、南は北九州から里帰りした。30万km以上のユーザーも多い。
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毎年参加者を迎えるエルテル坊主。エルグランド・ライダーの内装表皮で作られ、開会式が始まると雨は止んだ。
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マーチ・ボレロA30。愛くるしいが隅々まで相当な部分を専用に起こしたこのクルマの拘りを見た参加者は驚いた。
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神奈川県警のGT-Rパトカーもオーテックバージョンの4ドア。通常の業務は卒業しているが、大人気だった。
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道路公団仕様のセドリック。これもまたオーテックだ。隣はロイヤル・リムジン。オーテックの仕事は幅広い。
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広島ナンバーのデイズ・ボレロ。広島カープへの愛も感じる。eKにはないデイズならではの価値がボレロの魅力だ。
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オーバーフェンダーの造詣が美しいステージア・アクシス。チューニング・エンジンとM/Tの350Sだ。慎ましい。
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ステルビオの造詣はザガートの真骨頂。一見強烈な違和感を見る者に与えるが、後に虜にする魅力を感じる。
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マーチ・ボレロA30からセレナ・ライダー、出たばかりのノートe-POWERモード・プレミアまで最新モデルが集う。
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マーチ・ボレロA30の拘りの部分を紹介もする展示。これを見ると330万円(税別)は極めてバーゲンプライスだ。
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昨年に引き続き参加の松田次生選手と、「ようやく参加できた」と嬉しそうに語るロニー・クインタレッリ選手。
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イタリア出身のクインタレッリ選手の呼びかけで、イタリア中部地震へのチャリティー・オークションが行われた。
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サイン入りのお宝の数々がオークションに出品され、続々と落札されていた。落札者との記念撮影も行われた。
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落札した額は「頑張れアマトリーチェ村」のメッセージの入った募金箱に、その場で全額入れられた。
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お天気は今ひとつだったが、年に一度ふるさとでの集い。また来年「大磯でお会いしましょう!」。