SUZUKA Sound of ENGINE 2016
2016.11.19-20
鈴鹿サーキットは、昨年に続き歴史的価値を現代に伝えるとともに、自動車と2輪車、そしてモータースポーツにスポットライトを当てたヒストリック・イベントとしてサウンド・オブ・エンジンを昨年から開催している。その2回目となる今年は、数々のヒストリック・イベントもサポートしているスイスの時計メーカーであるRICHARD MILLE/リシャール・ミルがタイトル・スポンサーに付き、よりインターナショナルなイベントになった。
リシャール・ミルは創始者であるオーナーの名を冠した高級時計メーカーで、自らル・マン・クラシックなどに参戦するエンスージァストであると共に、レースやコンクール・デレガンスなどをサポートしている。
今回は「グループCカー」「レジェンド・オブ・フォーミュラ1」「60年代プロトタイプ」と、2輪車では「’90年代のワールド・グランプリ250」、「マン島TTレース」をメインに行われた。サーキットで行われるだけに、どれも展示だけではなく実際にレーシング・コースで模擬レースを行うだけに、往年の迫力がダイレクトに伝わってくるのがこのイベントの醍醐味だ。初日の土曜日は当初ウェット・コンディションになってしまったが、日曜日は回復して、予定していたマシンがすべてコースを走ることができた。
今回の目玉でもあるグループCカー・カテゴリーには、日本では目にできないジャガーXJR8とXJR9が姿を見せ、このほかニッサンR92CPとNP35やポルシェ962C、マツダ787B、グッピーMCSなどの名優達が走りを披露した。日曜日の模擬レースは16時から始められ、夕闇が迫る中の走行は当時のル・マンや鈴鹿1000kmを思い起こさせた。またグランド・スタンド裏のグランプリ・スクエアでは、マツダ・プロトタイプ・レーシングの系譜と題してマツダ787B JSPC仕様とMX-R01、IMSA用のプロトタイプ2016が展示され、来場者の注目を集めた。
そしてもうひとつの柱といえるのが、レジェンド・オブ・フォーミュラ1だ。今回のタイトル・スポンサーのリシャール・ミルが所有するフェラーリ312Tとティレル006が来場し、ミル氏自らがステアリングを握った。このほかの’70年代のマシンとしてはロータス72C、ウルフWR1が参加し往年のグランプリシーンを再現。かつて鈴鹿でドラマチックなシーンを見せてくれたフェラーリF187、ベネトンB189、中嶋 悟が乗るティレル019、ヴェンチュリー・ラルースLC92が姿を見せ、旧くからのファンを感激させてくれた。このほかフェラーリF310/2やF2003-GAも参加し、新旧フェラーリの競演が見られた。
60年代プロトタイプの走行枠では、ここ鈴鹿で伝説を作ったスカイライン2000GTを始め、プリンスR380、ポルシェ906、ローラT70 Mk-3、トヨタ7(5?)、マクランサ、コニリオが駆け抜けた。さらにはヒストリック フォーミュラ レジスターによる、葉巻型の1960年代のフォーミュラカーのヒストリック・レースが行われ、約30台ものエントリーで大盛況だった。
グランプリ・スクエアでは、日産 プリンス合併50周年展示として各時代を象徴する1954年型プリンス・セダンと1960年型スカイライン・スポーツクーペ、そしてニッサンR381が展示された。その横では日本のメーカーが初めて挑んだレースであるマン島TTレースに挑んだホンダ、ヤマハ、スズキのレーサーが一堂に並べられ、隣のブースでは日本人ライダーが大活躍した1990年代のワールド・グランプリ 250ccクラスのマシンが勢揃い。
これらの展示スペースの横にはステージが設けられ、グループC(長谷見昌弘、星野一義、寺田陽次郎、片山右京)やF1(中嶋 悟、片山右京、中野信治)、60年代ニッサンワークス(砂子義一、北野 元、長谷見昌弘、星野一義、柳田真孝)、ホンダ・ライダー(伊藤真一、玉田 誠、高橋裕紀、高橋 巧)という各カテゴリーを代表する豪華な顔ぶれでトークショーが行われ、こちらも大人気だった。
パドックでは前回に続きヒストリックカーによる、タイムトラベル・パーキングが設けられ、様々なメーカーの様々なモデルが参加した。このほかクラシック・バイク走行会や、パガーニのデモランとタイムマシーン・パレード、グリッド&ピット・ウォーク等の数多くのプログラムが用意され、レース・ファンには大満足の1日となった。
親会社であるホンダという枠を超えて、日本の各メーカーと協調してレースの歴史を後世に伝えるサウンド・オブ・エンジンは、日本のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードといえる存在になってきたといえよう。