メルセデス・ベンツE350dエステートAMGライン
公開 : 2016.12.01 05:40 更新 : 2017.05.13 12:49
車両重量は2トン近いものの、たった1600rpmから発揮される63.2kg-mのトルクによって、イージーに加速する。むしろ、驚くほど軽やかに思えるほどで、スロットル・ペダルを軽く踏み込んだだけでもポテンシャルの大きさを感じさせる。
トランスミッションは9速AT。従来のメルセデスが積むATよりシフトが速く直観的になったが、トルクのピークを上手く使うようチューニングされている。結果として得られるのは、ゆったり回り、くつろいだ走りを味わえるスムースな力強さという、ディーゼル特有の麗しさだ。
他社の、ガソリン・ユニットのようにエキサイティングなフィールを追求する傾向とは対極にある。
テスト車は、オプションのエア・サスペンション装着車だったが、標準仕様はリヤのみ自動車高調整機能付きのエア・スプリングを備える。
ハンドリングや乗り心地はEクラスのイメージを裏切らない、モダンな高級車らしい味付け。この辺りも、ライバル車がスポーティな方向へ傾いている中では個性と存在感を際立たせる要素となっている。
スローなペースでの快適さやキャビンの平穏さ、楽な操作性もまた、このクルマは提供してくれる。
重さも速さも適度で一定なステアリングは、フィールが希薄で、バンプ・ステアを手元まで伝えにくい。足回りの硬さはミディアム・ソフトといったところで、さすがにきつい隆起までは吸収しきれないが、路面の凹凸程度なら上手くいなしてくれる。
コンフォート志向ゆえにステアリングのレスポンスはやや鈍いが、横方向のボディ・コントロールは相変わらずお見事。舗装の悪い道路でボディの上下動が出るようになっても、コーナリング時のグリップ不足を見せることはない。