アウディS5
公開 : 2016.12.02 05:40 更新 : 2017.05.29 18:13
新型エンジンを得たS5は、速くて精確なハンドリングのクーペだ。ただし、ライバルに及ばない部分が確かにある。
■どんなクルマ?
新型へ移行したばかりのA5。そのラインナップで、現在のところ最上位に位置するのがS5だ。
メカニズムをみると、2ドアのクーペ・ボディ、そのフロントにトルキーなターボエンジンを縦置き搭載し、センターデフ式のフルタイム4WDシステムと組み合わせる、アウディ伝統のフォーマットを踏襲している。
エンジンはシリンダーがひとつ多く、その配列も異なるが、80年代のアウディを象徴するUr-クワトロを彷彿させるのは確かだ。
この手のパワフルなクーペの購買層は、全盛期のUr-クワトロに胸を熱くした年代も多いだろう。S5を狙うユーザーには、それが動機のひとつという向きも少なくないはずだ。
新型のエンジンは、先代同様V6ガソリンの過給ユニットだが、スーパーチャージャーからターボへと方式を変更し、もちろんパワーもトルクもアップ。重量は、ベースとなるA5同様に削減されている。
メルセデス-AMGが、新たにエントリー・グレードのC43クーペを発表したことで、セカンド・ベストなフル4シーター・クーペというニッチ・マーケットの王座を不戦勝で掴むことはできなくなったが、354ps/51.0kgmのアウトプットと、4.7秒の0-100km/hタイムは、注目を集めるには十分な数字だ。
また、足回りも専用チューンで、A5のスポーツ・サスペンション装着車より車高はさらに低く、運動性能は高められている。
それでも、トップ・エンドのRSモデルよりは快適で、洗練された品のある走りを見せるという、Sモデルの作法をわきまえている巧妙な味付けは、さすがアウディと唸らされる。
最近のSモデルはランニング・ギアだけでなく、印象的な装備品や素材、インテリアに用いた先進テクノロジーも売りだ。
このS5では、LEDヘッドランプやナッパレザーを奢ったヒーター付きスポーツ・シート、インフォテイメント・システムのMMIナビゲーション・プラスなどが標準装備されている。
ただし、魅力的な有償オプションも少なくない。アダプティブ・サスペンション、可変レシオ機構を備えるダイナミック・ステアリング、リヤの機械式スポーツLSD、そしてディスプレイ式計器盤に多彩な情報を表示できるバーチャル・コックピットあたりは、特に興味をくすぐられるアイテムだろう。
もちろん、すべて選べば、たださえ高い車輌価格に、£3,000(43万円)以上が上乗せされることになるのだが。