トヨタC-HRハイブリッド・エクセル
公開 : 2016.12.06 05:50 更新 : 2021.01.28 17:56
ハンドリングは、このクルマの美点だ。実の詰まったフィールで、回頭性は鋭い。ボディのロールはアンダーステアを発生しにくい程度で、ターンインでも中速コーナーで切り増しても、レスポンスは歯切れよい。
ほどよい車高は、扱いやすさにつながっており、乗り心地はバランスと洗練性を感じさせる。大きなバンプを超える際の突き上げも上手く押さえ込まれ、平穏でしなやかだ。
このシャシーならば、もっと優秀なパワートレインが欲しくなる。
システム出力122psのハイブリッド・ユニットは、プリウスでは先代より大幅な改善が見られたのだが、同じユニットでありながらC-HRでは、なぜか苦しそうな息づかいや単調なフィールといった、旧型の悪弊が甦っている。シャシーの出来が素晴らしいだけに、これは残念でならない。
ハーフスロットルでの過敏なレスポンスは、プリウスでその改善に言及したポイントだが、あきらかにC-HRでは影を潜めている。
しかしペダルを踏み込めば、それなりに元気な加速を見せるし、上り坂でも勢いは衰えない。十分に洗練されたメカニズムではあるのだが、強いて言うならエンジンの吹け上がりの遅さが玉にキズだ。
せっかくのハイブリッドだけに、街乗りでは電力走行を積極的に使いたいものだが、そのセッティングも巧みなもの。
低速からトルクが立ち上がるモーターの特性をフルに活かし、エンジンは停止したまま走行できる。低い速度域で、Sペダルを踏み足す必要性はあまりない。
■「買い」か?
トヨタの市場リサーチは適正で、彼らが想定する顧客層であれば、シビアに走りがどうこうと論じることはそうそうないだろう。
となれば、賞賛すべきハンドリングも、やや力不足だが先進技術を注ぎ込んだパワートレインも、5割ほどオーバースペックといったところだ。
しかし、走りにこだわるドライバーや、完璧さを求めるユーザーであれば、貧相で一体感を得られないハイブリッド・ユニットを見過ごすことはできないだろう。
1.2ℓターボと、できれば6速MTを積んだ仕様であれば、より満足できるに違いない。
■日本版編集部の見立て
TNGAプラットフォームで初めてハイブリッド以外のパワートレインを搭載したC-HR。英国版AUTOCARは、ハイブリッドではない、1.2ℓターボに魅力を感じたようだ。ともあれ、そのスタイリングには高評価で、同じく日本車として評価の高い日産ジュークにどう立ち向かうかが注目される。
トヨタC-HRハイブリッド・エクセル
価格 | £26,495(381万円) |
全長×全幅×全高 | 4360×1795×1565mm |
最高速度 | 171km/h |
0-100km/h加速 | 11.0秒 |
燃費 | 25.6km/ℓ |
CO2排出量 | 87g/km |
乾燥重量 | 1420kg |
エンジン | 直列4気筒1798ccガソリン+モーター |
最高出力 | 122ps |
最大トルク | 14.5kg-m |
ギアボックス | CVT |
▶ 国内初試乗 / トヨタC-HR
▶ 海外初試乗 / トヨタC-HR 1.8 ハイブリッド