ルノー・トゥインゴGT
公開 : 2016.12.07 05:40 更新 : 2017.05.29 19:22
ただし、エンジンのレスポンスは完璧とは言い難い。ブーストは2000rpmで出し抜けに掛かり、回転を素早く上げたとしても、実用に堪えるパワーが出るまでには顕著な遅れがある。
広く空いた道をハイペースで走るのならば問題にはならないが、スロットルのオンとオフが続く混雑した都心などでスムースに運転するのは難しい。
うねった田舎道などでは、また別の問題に悩まされる。それは、プアなボディ・コントロールだ。ルノー・スポールの腕利きたちが手を入れても、ベースにした標準車のシャシー能力の低さゆえか、ルーテシアR.S.のようにはいかなかったようだ。
きつめのコーナーに飛び込むと、バネ上がピッチングを起こす。これがすぐには収束せず、前輪に振動を残したまま出口へと向かうことになる。中速コーナーでバンプを踏んだ場合にはスタビリティを失い、セッティングし直したはずのESPの作動を引き起こす。
ステアリングは可変レシオ機構がフィールを濁しているが、もっとフィードバックがあればハンドリングを楽しめるのではないだろうか。タイトコーナーでも握ったリムに感じる重さは変化せず、そこからグリップ限界を知ることはほぼ不可能だ。
結局、スポーツ・モデルであってもトゥインゴは、大元のプラットフォームが想定した環境下でのみ真価を発揮する。よって、軽いステアリングや4.4mの最小回転半径、短いオーバーハングによる取り回し性は良好だ。
ひとつ付け加えたいのは、脚回りを硬め、ホイールを17インチに拡大したにもかかわらず、乗り心地はそれほど損なわれていないことだ。つまりは、チューンナップされてもシティ・コミューターの域に、良くも悪くも収まっているのである。