7速DCTだと本体価格は800万円近くなるが、エンスージァストが欲しがるアイテムはほとんどフルで標準装備である。

一般的な試乗車はBMWジャパンが広報宣伝用に用意したものなので、可能なかぎり派手に着飾るものだが、この個体に装着されているオプションはオーディオのグレード・アップや細かい実用性向上装備くらい。

見た目にそれとわかるのはアダプティブ・ヘッドライト(オプション価格8.4万円)だけ。つまり、それくらいしか追加装備がない。この種のスポーツ・モデルでは追加オプションにしがちの特殊なコンパウンド素材の大径ブレーキやアクティブディファレンシャルなどもすべて標準装備だ。

■どんな感じ?

とにかく凄まじい加速力と、好事家にはたまらないサウンドである。ひとクラス上のM3やM4と基本的に共通のパワートレインを、明らかにより小さく軽いボディに積んでいるので、どのギア位置からでも間髪入れないレポンスで蹴り出す。

3.0ℓターボの炸裂する高回転はいかにもハイチューンユニットのそれ。いっぽうで、昨今の直噴ターボらしく低回転から凄まじいトルクで、リミットは7100rpmなので、かつてのNAのように金きり声……とまではいえないのだが、回転上昇につれてトップ・エンドまでトルクを積み上げていく。

サウンドの演出も明白だ。少しばかり笑ってしまうほどまあ分かりやすい演出だが、図太い迫力と適度な高音のミックスは、しっかりと気分を盛り上げてくれる。