三菱アウトランダーPHEV
公開 : 2012.12.04 18:41 更新 : 2017.05.29 19:26
■どんなクルマ?
今までとは異なる種類のハイブリッド・カー、三菱アウトランダーPHEVに独占試乗する機会をAUTOCARが与えられた。
何が異なるのか? 三菱は「われわれがこれまで見た一握りのプラグイン・ハイブリッドは、ショーケース用のクルマでしかありませんでした。しかし、われわれのモデルは異なります。」といって生産車にほとんど近いプロトタイプのキーを渡してくれた。
■どんな感じ?
アウトランダーPHEVは、来年中頃にはヨーロッパ市場で販売されるモデルであり、まともな航続距離を持つ最初のハイブリッド4WDモデルとなる。三菱は、このアウトランダーPHEVは、「プリウスのような極端なローエミッション・モデルでもないし、シボレー・ボルトのようなアヴァンギャルドなポスター・モデルでもない」と言う。最大限の快適さと実用性を持ち、全天候型の信頼性を持ち、それでいて燃料消費を最小限に抑えられたクロスオーバーSUVなのだ。
ただひとつだけ妥協があるとすれば、それは7シーターではなく5シーターということだ。
エクステリアおよびインテリアにおいては、特別、通常モデルと大きな変化はない。LEDランニング・ライト、クロム・トリムと、スペシャル・アロイ・ホイールなどがエクステリアの違い。インテリアでは若干異なる計器類とギア・セレクターぐらいなものだ。トランクも通常モデルと同じ591リッターが確保されている。
2つの80bhpのモーターが、それぞれのアクスルに付けられている。12kWhのリチウム・イオン・バッテリーと、独立したインバーターによってそれは駆動される。ひとつのアクスルに1台のi-Miev EV分のモーターが付けられている計算になる。
後部のモーターは、19.9kg-mのピーク・トルクを0rpmから発生する。フロントは14.0kg-mだ。そして、240Vで4時間充電すれば、バッテリーだけで55kmの走行が可能だ。もちろん、バッテリーが切れた後は、2.0リッターのガソリン・エンジンのみで走行することとなる。
クルマはまず最初、70kWのジェネレーターが4輪に駆動を与えるシリーズ・モードで走行する。そして、フルスロットルを与えると、ガソリン・エンジンも使用するパラレル・モードとなる。ガソリン・エンジンはダイレクトにフロント・ホイールを駆動し、同時にバッテリーとモーターにもパワーを与える。最大航続距離は880kmだ。
そのモードの切り替わりは、われわれのテスト車でも感じることはできなかった。
われわれのテスト車両は、日本スペックであったが、そのシャシー・セッティングは素晴らしいものがあった。
EVモードでは恐ろしく静かで、内燃機関が動き出しても、良く断熱されていてそれを知ることはできない。また、ハイブリッド車でしばしば見かけられるブレーキの柔らかさもなく、常に右足によく反応する素晴らしいパフォーマンスを示してくれた。
リラックスしてドライブができ、しかもフルパワーでは非常に速い。乗り心地はスムーズで、サスペンションからのノイズも非常に少ない。確かに横方向のロールが大きい気がしたが、これはヨーロッパ仕様では改善されることとなっているようだ。
■「買い」か?
1.8トンのクルマを2.0リッターのエンジンで引っ張る通常のアウトランダーであれば、その燃費は12km/l程度だろう。現実的には、CO2税が考慮された後でも、2.2リッターのクリーン・ディーゼル・モデルが総合的に経済的なのはいうまでもない。
しかし、本当にクリーンなモデルを望んでいる人にとっては、そして、自宅のチャージで住んでしまうような短い距離を毎日使う人にとっては、このPHEVは強くアピールする存在になるかもしれない。
そのロー・エミッションは、本当に歓迎されるべきものであろう。
(マーク・ティショー)
三菱アウトランダーPHEV
価格 | NA |
最高速度 | 170km/h |
0-100km/h加速 | NA |
燃費 | 60.1km/l |
CO2排出量 | 49g/km |
乾燥重量 | 1810kg |
エンジン | 直列4気筒2000cc + 2x80bhp電気モーター |
最高出力 | 220bhp |
最大トルク | 44.2kg-m |
ギアボックス | ダイレクト・ドライブ |