ミニ・クラブマン・ジョン・クーパー・ワークス
公開 : 2016.12.22 05:55 更新 : 2017.05.29 19:14
■どんな感じ?
フォード・フォーカスST-3ワゴンより£3,000(44万円)も高いのだから、ベース車を大幅に改修しているのは当然だが、少なくともインテリアに関しては、価格を正当化できるだけの仕事がされている。
ダッシュボードのプラスティック素材は高品質。見た目は煩雑で抑制が利いていないものの、それ以前にこのエクステリアを許容できるミニ好きなら、気にならないか、むしろ好ましく思うのではないだろうか。
とはいうものの、それらはJCWのうわべの魅力にすぎない。客観的に見れば、素晴らしく才能溢れるモデルとは言い難い。その原因は主として、クラブマンそのものの変えようがない欠点だ。
まずベーシックなハッチバックの積極性を再現しようとして、結局は無様な、時に苛立ちさえ覚えるものに成り下がったステアリングに不満がある。微小入力では反応しないのに、切り足すと突如として方向を転換するのである。少なくともJCWでは、柔軟さを増し、逆にリムに伝わる反発は減らして、悪癖が多少なりとも緩和されている。
しかしながら、硬いバネを備えることで、使いやすさに譲歩する部分はなくなった。スポーツ・モードでは、あらぬ方向へたやすく向きを返す鼻先に辟易する。その後、ひとたび活発さが目覚めれば、安定性の欠落も許容範囲だと思えるかもしれないが、この一貫性のない特質はあまりにも厄介な障害だ。その運動性を損なう感覚的な重さは、目をつぶることも逃れることも叶わない。