BMW 540i
公開 : 2016.12.26 05:40 更新 : 2017.05.23 10:22
自動運転機能についても言及しておくべきだろう。70〜180km/hでの車線変更は、ウインカーを出せばクルマが勝手にやってくれる。操舵はもちろん、必要に応じて加速や減速も行ってくれるが、いずれも上出来だ。
ただし、手放し運転を許容するのはごく短時間で、すぐにステアリングホイールを握るよう警告が発せられる。
試乗車はアダプティブダンパーを装着していたが、これは英国市場では£985(14万円)のオプション。完成度は高く、市街地でもより開けた道路であっても、コンフォート・モードでは先代の同等仕様より安楽な乗り心地を提供してくれる。
これをスポーツ・モードに切り替えると、540iはたちまち生き生きと走り始める。スロットルからエンジン、トランスミッション、ステアリング、そしてサスペンションと、走行メカニズムが軒並み運動性重視のセッティングに切り替わり、快活にして精確、そして夢中になれる走りと、少なくとも後輪駆動モデルなら、エンターテイメント性も発揮してくれるのだ。
公式スペックでは、540iの2WD版の0-100km/h加速は5.1秒。これは先代535i比0.7秒の短縮だが、これは掛け値なしだろうと確信できる走りっぷりだ。
それも、エンジンとトランスミッションの絶妙な調和あればこそ可能となるもの。パワーデリバリーはクリーミーなまでにスムースで、指摘するほどのターボラグは感じられない。むしろ、極めてリニアだといいたいほどだ。
全回転域でトルクの谷は見受けられず、レッドゾーン付近でもフレキシビリティは損なわれない。ZF製ATの変速は、アップでもダウンでも素早いばかりでなく驚愕のスムースさも兼ね備えている。
予測できたことだが、スポーティな走行モードでも重すぎることはなく、それでいてダイレクト感にも満足できる。試乗車が備えていた後輪操舵システムも、ハンドリングの向上に貢献。敏捷性を高め、舗装の悪い田舎道をハードに攻めたなど、夢中になるようなドライビングを味わうことができる。
スポーツ・モードでの硬められたダンパーは、ボディ・コントロールにも影響し、高速コーナーでの挙動はコンフォート・モードよりニュートラルな傾向を示す。
これを補助するのが、電子制御スタビライザーだ。既存の油圧ものより素早く作動するそれは、オプションのダイナミック・ドライブで統合制御される。ただし、当然というべきか、路面からの突き上げが増し、乗り心地が悪化する。
さらに不整路面では、中速コーナーでのバンプなどをいなしきれず、時として苛立ちを覚えるほどだが、こちらはコンフォート・モードでも同様の傾向が見られる。
根本的な特性として、アスファルトの欠けなどの悪条件に遭った場合など、ボディに発生する不快な振動は打ち消しきれなかったようだ。
■「買い」か?
5シリーズの能力向上はあらゆる面で、メルセデスEクラスを超えた。つまり、この上ない領域に到達したといえる。ハイ・レベルな質感や居住性はもちろん、快適性や洗練性においても熟成を深めた。これらは、このカテゴリーで成功するには不可欠な要素だ。
また、最新のコネクティビティやドライバーズ・アシストも備えると同時に、スポーツ・モードで限界まで攻めてみれば、驚異的なまでに熱中できて、極めてレスポンスのよい、BMWの美点も継承していることが実感できる。間違いなく、5シリーズは大きな前進を果たしたのだ。
■日本版編集部の見立て
あらゆる面で、Eクラスを越えたとされる5シリーズ。Eクラスとて非常に出来の良いサルーンだ。日本でのステアリングを握る日が待ち遠しくなるモデルの出現だ。
BMW 540i
価格 | £46,645(678万円) |
全長×全幅×全高 | NA |
最高速度 | 249km/h |
0-100km/h加速 | 5.1s秒 |
燃費 | 14.5km/ℓ |
CO2排出量 | 149g/km |
乾燥重量 | 1595kg |
エンジン | 直列6気筒2998ccターボ・ガソリン |
最高出力 | 355ps/5200rpm |
最大トルク | 45.9kg-m/1380rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |
▶ 海外ニュース / 新型BMW 5シリーズ、正式に公開。画像43枚+ビデオ
▶ 海外初試乗 / BMW 530d xDriveプロトタイプ