ルノー・ゾエR90

公開 : 2016.12.26 05:30  更新 : 2017.05.29 19:22

とはいえ、ルーテシアに比べれば、タイトなコーナーの続く道ではシャープさに欠ける。もっとも、1480kgもの車両重量があるとなれば、予測できることではあるが。

とはいえ、市街地で短距離移動するための乗り物としては、ゾエに軍配が上がる。

バッテリーの変更は、0-100km/h加速13秒以上のパフォーマンスを改善する用を足してはいないが、せいぜい60km/h程度が上限となる日常遣いのシチュエーションでは、即座に立ち上がる23.0kg-mのトルクは元気な加速をもたらしてくれるし、そのEVの特性ゆえに、エンジン車のようなアイドリング・ストップでのぎくしゃくした発進に煩わされることもない。

発進時の活力漲るフィールはしかし、速度が上昇するに連れて減退する。つまり、追い越し加速などでは多少気を遣うことになる。

それでもわれわれは、試乗中にエコ・モードを切ることはまずなかった。この手のクルマで、わずかなスピードを得るために10%の航続距離を犠牲にするのは、妥当な判断ではないだろう。

走行前、オンボード・コンピューターが示した航続距離は300km。ここから郊外での穏やかなクルージングを40kmほど経て確認すると、261kmとある。1kmほど浮いた計算だ。

その後48kmほど攻めた走りをしてみると、残量は209kmに減少。単純計算で3kmほど損したことになる。しかし、そこから試乗コース上にあるポルトガルののどかな村々をのんびり通り抜ける頃には、走行可能距離の数値と実走行距離の辻褄が合うようになり、そのまま試乗を終えることができた。

これよりずっと高価なテスラを別にすれば、ここまで柔軟性に富んだEVに乗るのは初めての経験だ。

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