ルノー・ゾエR90

公開 : 2016.12.26 05:30　　更新 : 2017.05.29 19:22

ただし、今回の改良ですべてが改善されたとは言い難い。新規設定された最上級グレードのシグネチャー・ナビは、装備内容などを見れば内装クオリティがBMW i3の上級仕様と肩を並べてもおかしくはない。

しかし実際には、レザー・トリムも、ボーズのサウンド・システムも、ブラシ仕上げのブロンズ色パーツも、実質的には時代遅れの感があるルーテシアのそれを流用したキャビンをわずかながら立派に見せただけのことだ。

われわれなら、装備類を絞って価格を下げたダイナミック・グレードを選びたい。

■「買い」か?

もしもあなたが現行ゾエのオーナーで、ほぼ市街地での移動に使用しているなら、改良型R90で伸びた航続距離はわざわざ買い換える動機にならないだろう。

しかしながら、初めてのピュアEV購入を検討しているなら、より柔軟な運用を可能にするそれは、実際に使うかどうかは別にしても、リーフやi3と比較した場合に、魅力を感じずにいられないポイントのはずだ。

ゾエは、EVだからといって奇抜さをことさら強調しない、一見すれば普通の、実用的な5ドア・ハッチバックである。

しかも室内装備は充実し、乗り心地は穏やかで、パワートレインは十分なトルク感を持つ。EVとともに過ごす生活に飛び込もうという気持ちがあるなら、ゾエは魅力的な存在だ。

従来もそうではあったが、今回の改良版はその魅力をより強めている。

■日本版編集部の見立て

航続距離が格段にアップしたことで、同じルノー日産アライアンスのライバル、リーフに対等に戦えるポジションになった。しかも、ドライビング・フィーリングは、リーフよりも出来が良いようだ。日本での販売はまずないだろうが、リーフの強力なライバル出現といったところだろう。