アストン マーティン・ヴァンキッシュS
公開 : 2017.01.05 05:50 更新 : 2017.05.29 18:20
リアに搭載される8速ATはキャリーオーバーだが、エンジンとプロペラ・シャフトの接続機構はよりタイトになり、変速はよりダイレクトで、実際には変わりないものの、体感的には速くなった印象だ。
シャシーの変化はわずかだが、確実に感じられる。乗り心地はバランスよくコントロールされたもの。凹凸の多い路面では落ち着きない動きを見せ、キャッツアイを乗り越えれば大きく突き上げられるが、それは最新のDB11でも同じようなもので、取り立てて不満に思うほどではない。
アンダーステアも軽減され、より敏しょうに感じられるようになった。ステアリングは従来通り油圧アシストで、スクエア形状の重いリムを通してさえ手元に伝わる感覚はすばらしい。
近頃、気取ったカフェでランチを注文すると、まな板のようなトレーに盛りつけられてくることが少なくないが、あれは料理が滑って混ざり合ったりして実に不愉快だ。洒落っ気はなくても、皿に盛ってほしくなる。
クルマでいえば、真っ平らなシートに座らされるようなもの。身体を心地よく支えてくれるシートなら、クルマからのメッセージもきちんと伝えてくれる。このヴァンキッシュSなら、各部のホールド機構はぴったり調整でき、それが決まれば、麗しいハンドリング・バランスを味わえる。