ダチア・サンデロ0.9 TCEローリート
公開 : 2012.12.05 15:29 更新 : 2017.05.29 18:46
■どんなクルマ?
もしかしたら、今年、最も必要とされていないドライブ・レビューかもしれない。この新しいダチア・サンデロのドライビング・インプレッションは、本当に必要とされているのだろうか疑問である。
このサンデロは、フルサイズの5ドア/5シーターのスーパーミニで、実用的なブート・スペースを持つ。来年1月から6,000ポンド(80万円)からという値付けで販売される。4mのハッチバックの正常な価格を考えて欲しい。ヴォグゾール・コルサのエントリー・レベルの5ドアでさえ、5桁のポンド、しかも12,000ポンド(160万円)からスタートしているのだ。
■どんな感じ?
2012年の今、何故6,000ポンド(80万円)というスーパーミニを販売したのだろうか。それはともかく、その価格のベース・モデルには、パワー・ステアリング、分割可倒式リア・シート、電子制御のスタビリティ・コントロール、そしてISOFIXチャイルド・シート・アンカーぐらいが標準装備だ。ボディはホワイトのみで、黒いプラスティック・バンパーと時代遅れのドアロックが付けられ、アラームはなし。しかもラジオがあるべきスペースにはブラインド・リッドが付けられる。ホイールは15インチのホイールキャップもないものだ。
われわれのテスト車両は、トップ・レベルのローリートというトリムであった。これは英国で販売されるサンデロの60%を占めると思われる。このローリートは、7,995ポンド(106万円)からという価格だ。ローリートにはUSB接続、パワー・ウインドー、エアコン、ロモート・コントロール・センター・ロック、ブルートゥース、トリップ・コンピュータ、フロント・フォグランプなどが付けられる。
更に、アロイ・ホイール、ダチア・プロテクション・パック、4年保障などをつけると、その価格は10,250ポンド(136万円)となる。すると、11,500ポンド(150万円)のキアと大差ない価格となる。
エンジンは3つ。89bhp、99g/kmの1.5リッター・ディーゼルと、2つのガソリン・エンジンだ。われわれのテスト車輛は、898ccのターボチャージャー付きの3気筒で、5速マニュアル・ギアボックスが組み合わせられていた。
低回転型で静かなエンジンで、厚いバルクヘッドがその音をあまり伝えない。しかし、シートを通してキャビンにはバイブレーションが入ってきてしまう。もちろん、サンデロは遅いクルマではない。柔軟なパフォーマンスを持っている。しかし、特にドライバーに訴えかけるものはなく、ごくごく平凡なエンジンだ。
同じことはサンデロのハンドリングにも言える。ダイナミックで、乗り心地も充分静かだ。グリップ・レベルも適切だ。しかし、それ以上でもそれ以下でもないものだ。
■「買い」か?
あなたがその価値を認めるならばOKだ。6,000ポンド(80万円)という代償に見合うだけの充分なものを受け取ればいい。キア・リオやシボレー・アヴェオに対して十分に戦えるものだとダチアは考えているかもしれない。確かに、キアはダチアに比べればかなり高価なモデルには違いない。しかし、その韓国製のモデルのほうが、遥かに良くできたクルマだ。最も安いサンデロを選ぶのであれば、それも良いかもしれない。しかし、ローリート・トリムを選んでしまうのであれば、充分に安いとはいえないのも事実だ。
(マット・ソーンダース)
ダチア・サンデロ0.9 TCEローリート
価格 | 8,795ポンド(116万円) |
最高速度 | 175km/h |
0-100km/h加速 | 11.1秒 |
燃費 | 19.2km/l |
CO2排出量 | 116g/km |
乾燥重量 | 962kg |
エンジン | 直列3気筒898ccターボ |
最高出力 | 89bhp/5250rpm |
最大トルク | 13.8kg-m/2500rpm |
ギアボックス | 5速マニュアル |