マセラティ・クアトロポルテV8
公開 : 2012.12.05 17:04 更新 : 2017.05.29 19:12
■どんなクルマ?
すべてが新しくなったマセラティ・クアトロポルテのために8年間の時間を必要とした。美しいクルマではあったけれど8年という月日はさすがに長かったというべきだろう。しかし、いよいよ満を持して、この新しいクアトロポルテが、来年2月にヨーロッパで、そして6月に英国で発売されることとなった。
旧モデルに対して、新しいルックス、一新されたプラットフォーム、フェラーリ・デザインの新しいエンジン、そして異なるディメンジョンが与えられている。マセラティは、昨年の6,200台という数から、2015年までに50,000台までその販売数を引き上げようとしているのだが、そのためにも重要な役割を持ったモデルでもある。
■どんな感じ?
新しいクアトロポルテは、標準的なメルセデス・ベンツSクラスとほぼ同じ寸法にまでサイズ・アップされた。そして、リア・スペースも、かつては窮屈だったものが、Sクラスと同じぐらい広くなった。また、トランク・スペースも巨大だ。
エンジンは、ツインターボで武装された523bhpのダイレクト・イグニッションの3.8リッターV8か、407bhpの3.0リッターV6を選ぶことができる。共に、8速のZF製オートマティックが組み合わせられる。
われわれの試乗車はV8モデルだった。
オプションの4WDは、通常は100%リア・ホイールにパワーを伝えるが、必要に応じてフロントに50%分配されるものだ。また、この次のBMW 5シリーズに対抗するはずのギブリには高性能ディーゼルの搭載が予定されているが、このクアトロポルテにはその設定はない。
4輪独立のサスペンションは、フロントがダブル・ウィッシュボーン、リアが5リンクと言うレイアウトで、これは新世代のマセラティと共用だ。
クオリティは高いが、インテリアのテーマは簡略化だったという。そして、それは見事に成し遂げられているようだ。目前には2つの計器盤が並び、その間に小さなスクリーンが配置される。3スポークのステアリング・ホイールは、ラグジュアリー且つスポーティな雰囲気を醸し出している。センター・コンソールは高めの丁度良い位置にメイン・スクリーンが取り付けられている。
タンのレザー・シートは、伝統的に美しいだけでなく、サポートも良い。ドライビング・ポジションは低く、集中したドライビングには理想的なものと思われた。
エンジンは、スムーズに動き出す。500bhp以上を叩き出すエンジンであるということは、かろうじてV8の鼓動で知ることができる。ZFのトランスミッションのマッチングも素晴らしく、軽快なレスポンスを約束してくれる。その滑らかさは、クアトロポルテのドライビング・プレジャーを削いでしまっているのではと思えるほどだ。
0-100km/h加速は5秒以下、そして最高速度は307km/hというスーパーカーらしいパフォーマンスを発揮する。実際のところ、このエンジンがどんなものかを理解するには難しい。トルクフルであることは間違いない。そして、高回転型のV8なのか、あるいは低回転型なのか。その答えは、両方の性格を持ち合わせているというのが正解だろう。
■「買い」か?
フィアットのバロッコのテストトラックをドライブした感触では、リムジンの快適さまでに言及するのは無理があった。しかし、限界付近でのハンドリングについてはエクセレントとしか言いようがなかった。
ロング・ホイールベース、グリップの高いタイヤ、そしてその素晴らしいセッティングのシャシーによって、小さなボディ・ロールと共に、ほとんどニュートラルといってよいハンドリングを見せてくれた。オーバーステアなどと言う言葉とは無縁だ。また、そのステアリングは正確でパーフェクトな重さを持っていた。
乗り心地? 例え英国の道であっても、充分に安定した乗り心地を見せてくれると想像はできる。それは、また別の機会にとっておこう。
(スティーブ・クロプリー)
マセラティ・クアトロポルテV8
価格 | 100,000ポンド(1,325万円) |
最高速度 | 307km/h |
0-100km/h加速 | 4.7秒 |
燃費 | 8.4km/l |
CO2排出量 | 278g/km |
乾燥重量 | 1900kg |
エンジン | V型8気筒3798ccツイン・ターボ |
最高出力 | 523bhp/6800rpm |
最大トルク | 66.2kg-m(オーバーブースト時73.3kg-m)/2000rpm-4000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |